プラモ作りを電気の力で楽にしてくれる「電動工具界の幕の内弁当」が登場です。オレは正直コンセント直刺しの安価なハンディルーターを持っているのですが、買った時から回転軸が微妙にブレているのがずっと気になっていました。「でもまあ乱暴に削る加工にしか使わないからいいか(テヘペロ)」と思っていたので、RAYWOODから「新しいモーターツールを渡すのでレビューしてくだされ」と言われたときには、いやそんな7980円でモーターツールがいい感じになったりしないでしょ……と思ったんですよ。高級なミニルーターって数万円しますからね。
どっこい、届いたDULO MR-01のスイッチをONした瞬間にその疑念は吹き飛びました。マジで軸ブレがない。音が静か。チューン……という軽いモーター音とともにビットがビビることなく回転している。とりあえずこの時点でウチの廉価なモーターツールよりは俄然マシ。よしこれに乗り換えてオッケーだなという感触がありました。
そのLEDでかっこよく光る「DULO」ってロゴはなんなの?と思ったんですが、これはNITRO-COMP(私も愛用しとる格安高出力コンプレッサー)などのエアブラシ関連アイテムをリリースしているRAYWOODのツールブランドなんですって。
「充電式ミニルーター」ということで、このシルバーのダイヤルが付いたコントローラーそのものがバッテリーになっています。回転の正逆を変えるリバーススイッチと回転数を調節するダイヤル。
……そんなことより聞いてくれよ、なんとこのコントローラーにはUSB出力端子が付いている。バッテリー容量は2600mAhなのでちょっとしたUSB駆動の照明やツールに対してこのコントローラーから電源供給できてしまう。なんでも充電できるモバイルバッテリーからモーターツールが生えていたらおもろいでしょうが。そのおもろい現象が実際に目の前で起きている。マジ?
盛大に脇道に逸れましたが、私がこのミニルーターのパッケージをバリバリ開けてホントにびっくりしたのはUSB端子じゃない。付属のビットも豊富なのです。金属のビットが6つ。いろんなカタチの先端工具があるので削りたい形状に応じて選んでね、という内容ですが、まあこういうのは使いながら「ここはこういうカタチのが調子いいな」みたいな感じで体得するのがいいです。上に6つ並んでる茶色いのは粗目の紙やすりを丸めたものだと思ってください。いちばん右のビットにかぶせて回転させ、対象物を削るのに使います。
まあここまでは普通だなと思ったんですよ。DIYショップでも安く売られている「ミニルーターのビット/基本セット」みたいなもんですからね。とくに細くて小さいビットなんてプラモ作りにそんなに使わないし、このビットセットは「ま、入ってますよね!」みたいな感じに捉えればいいです……(たとえば彫金とか木工やるなら別ですが、プラスチックはデザインナイフや普通のヤスリでもガンガン切れるし削れちゃうのがいいところ)。
で、箱から電源ケーブルを出すために本体の入ったトレイを外したらもう時代劇ですよ時代劇。おまんじゅうの下から金貨が出てくるやつ。
セラミックの円柱ビットと砲弾ビットが箱の底からお出まし! 日常生活のなかで、箱の上げ底を外しながら「お主もワルよのぉ〜」とつぶやくことが本当にあると思いましたか? 私は思いませんでした(何の話!?)。ちなみにセラミックは劣化しづらく切れ味鋭く熱を持ちづらいので、プラスチックを低回転でチャーッと削り取るのに最適。ちょっと乱暴に扱っても熱でプラスチックが溶けて巻き付いたりすることもありません。
いやオレはそんなプラモをガリガリ改造しませんのでモーターツールはちょっと……という読者もいるかもしれませんが、私が「こういうときモーターツールないと絶対いやだな〜」と思う2大タイミングを教えます。
ひとつはこういう海外のプラモとかちょっと古いプラモで見る「パーツの裏側に出っ張った押し出しピンの跡」を削り取るとき。デッカいヤスリでは削りたくないところまで削れるし、平らな彫刻刀なんてそうそう使わないからどこにしまったか忘れるし……。
トルクは充電式ルーターの中でもトップクラス(少なくともプラスチックの加工には必要十分)と言えるもの。「充電式」ならコードレスのハンディタイプでいいじゃん、と思うかもしれませんが、このMR-01はバッテリー&コントローラー部とルーターをあえて分離して有線接続にしたことで、ルーター側に大きめのモーターを採用できたんだとか。
もちろんパテやらレジンやらの塊を豪快かつ高速にガンガン掘り進めたい……みたいなときは当然AC電源タイプのハイスペック&高価格帯のものをおすすめしますが、ミニ四駆の肉抜きとかプラモの小加工とかレジンキットのバリ取りとか……そう、バリ取り!このセットには入ってないんですが、もうひとつのモーターツールが輝く瞬間が丸ノコですよ丸ノコ。
ノコギリでギコギコやってる暇があったらモーターツールに丸ノコ噛ましてギャーンと回せば固定ポーズのプラモも一発で切断。レジンキットや少々手強いプラモのゲートなんかも一瞬でやっつけられます。多分私が使うのは上記の「砲弾型セラミックビット」と「自前の丸ノコ」だと思うんですが、この軸のブレなさはすなわち加工精度の高さにつながりますし、回転数は作業スピードに直結。やっぱモーターツールは模型製作を楽しくしてくれますね。
さて、これらが自在に操れて充電式のスターターパックが7980円ということですから、「うーん、モーターツールって聞いたことはあるけど、いったいどこから手を付ければいいんだ?」みたいな人はここを起点にするのがいいです。
これを使っていろいろな工作をしているうちに「もっとパワーを!」とか「もっと低回転域のコントロールを!」みたいな欲が出てきたら、自分に合ったものがなんなのか掴めた証拠です。ミニルーターに初心者向けもベテラン向けもありませんが、まずコレがあれば「手作業では面倒だったことがあっという間にクリアできる!」ということになります。みなさんもこの機会に導入しましょう。商品情報は以下から!そんじゃまた。
模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』https://wivern.exblog.jp の中の人。