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「プラモの刺身の盛り合わせ」と「方丈記」が教えてくれた、これからのプラモの楽しみ方。

▲一切塗ってない、組んだだけのプラモたち。プラスチックの質感は美しいから、ただ作って並べる、それだけで最高にプラモは楽しいんだぜ。いつも他所行きな気分だと疲れちゃうよね

 ここにあるプラモたちは皆すっぴん。「プラモの刺身」である。こう並ぶとまさに盛り合わせだ。どうだい? 盛り合わせになるとめちゃくちゃ豊かに見えるだろう。そう、プラモってのはこれがいいんだ。プラスチックの色とプラの質感ってのは、逆に塗装したプラモにはない魅力がある。だから素敵な色を纏ったプラモを見たり、作ったりすると、また別な満足感が得られるのだ。これもまたプラモの楽しさである。

▲刺身も赤身、白身、青魚、甲殻類などが並ぶと一気に色が増えてワクワクする。目からの刺激で既に酒がうまい

 そして今日も良い色のプラモが俺の家にやってきた。「1/24 ハセガワ ヒストリックカーシリーズ 三菱 コルト ギャラン GTO-MR」だ。このプラモ、箱を開けると鮮やかなオレンジのパーツが目に飛び込んでくる。良い色を纏ったプラモはこの「箱を開けた瞬間」がたまらなく楽しい。イメージ通り、もしくはそれを超えた色のパーツなんかが出てくると嬉しくてつい「出来てる!!」と叫んでしまうほどだ。

▲車模型と言ったらボディだ。この光沢感と見事なオレンジ。まさに「出来てる」の一言
▲航空機の操縦席を思わせるラウンドタイプの計器盤が最高にかっこいい。内側のパーツが黒で成型されているので、組むだけでボディと色が異なり、より室内らしさが出る
▲パーツをカットして、接着剤で貼っただけ。各部のイメージが大まかに色分けされていること、メッキパーツによるゴージャスな質感で、ここまでカッコ良くなる

 箱を開けた瞬間「出来てる」と思ったプラモに、素直に応えた。こうやってまた一つ、自分のコレクションが軽やかに増えていく。既に棚にいる仲間たちの中に、鮮やかなオレンジが入ったことで俺の盛り合わせはより豊かな景色になった。ちょっと「サーモン」みたいだ。サーモンって盛り合わせの中でも赤でも白でもないアクセントカラーな存在だから、このコルト ギャランも棚の中にちょうど良いアクセントを与えてくれている。

 刺身? 盛り合わせ? なんじゃそりゃと思ってもらってもちろん良い。でも、どんな趣味にもウェイトがあって良いんだ。プラモだったら、買うだけでも良い、組むだけでも良い、好きな色1色で塗るのも良い。そして自分の理想像を追い求めてやり切っても良い。このメリハリに乗れると、趣味ってのは長続きするし、実はより深く楽しめる。

 日本三大随筆の一つ、作/鴨長明による「方丈記」(他に徒然草、枕草子)でもそのようなことが書かれていて、本書を読んでから、“プラモを作ることへの姿勢”が大きく変化した。
 およそ800年前に書かれた本書は、京都・下鴨神社の禰宜の一族として生まれた鴨長明の挫折、都を立て続けに襲った5度の大災害の克明な様子(大地震・大火・大飢饉・辻風といった災害のことが綴られていて歴史的価値が高い。さらに遷都も災害扱いしているのがなるほどで面白い)、それらを経て辿り着いた「方丈の庵」の中で彼が見つけたハッピーライフの考え方を記したとってもユニークな1冊だ。

 「念仏を唱えるのも大変だったら、毎日唱えなくても良い」。「好きで弾いている琵琶の音も、人の耳を喜ばせるのではなく、自分の心の慰みとしているの……」。そう、俺が楽しいように楽しむってのが良い人生なんじゃないって800年も前の先輩が楽しんでいる様子が本書には美しい文章で綴られている。

 そして鴨長明がすごいところは、他の人へのリスペクトな感情も忘れていないことだ。自分が良いなと思ったものをもっと趣深い人が見たら、さらに何かを得られるのだろうと言っている。自由にやるのもいいけど、周囲へのリスペクトって気持ちは趣味にとってとても大切。「方丈記」はまさに趣味を楽しむ人の考え方の「盛り合わせ」と言っても良い、プラモが楽しくなる本なのだ。

▲自分の心が良いと思ったことなら、どう楽しんでもいい。それが趣味ってもんだぜ。思いっきりやろう 

 大好きな趣味だからこそ、周囲を見ると色々悩んだり嫉妬したりと言うマイナスな感情が生まれるのもわかる。でもそんな時は、刺身のようにウェイトを軽くしたり、全く別の方法で作ることにチャレンジしてみたり、いっそのこと一旦遠ざかってみたりするのも悪くないことだと思う。俺の棚にあるプラモの盛り合わせも、自分の機嫌を取る役目を大きく果たしてくれている。自分が良いなと思ったことでプラモを、楽しもうじゃないか。そしてなんか迷ったら、nippperにアクセスして欲しい。ここにはさまざまな人の盛り合わせが用意されているからね。

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フミテシのプロフィール

フミテシ/nippper.com 副編集長

1983年生まれ。模型雑誌編集や営業を経て、様々な世界とリンクする模型の楽しみ方にのめり込む。プラモと日常を結びつけるアプローチで模型のある生活を提案する。

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