

グリーンアーミーメンっているじゃないですか。『トイ・ストーリー』に出てきたチープな兵隊のオモチャみたいなやつ。あの感じの鎌倉時代の武士のプラモが発売されました。なんて? いや、買ったけども。面白いから。
鎌倉時代の武士のプラモ、これはわかる。鎧を着ててゴツくてかっこいいし、鎧の金属の部分とか鎧の下に着ている衣服とかで質感が違って、プラモになった時に面白そう。布と金属とか、木と金属とか、質感が違うものが隣接して生々しくプラモデルになってると、モデラーって喜ぶんですよ。第一次大戦の時の飛行機みたいなもんなんです、鎌倉時代の武士は。

だからそれを3Dスキャンして、デジタルモデリングであれこれして、頑張ってプラモにしたっていうのはわかる。うまく組み立てて、色を塗ったら楽しかろう。でもそれをグリーンアーミーメンにしちゃったというのは、けっこうな距離をジャンプしたな……という気持ちになりますね。そりゃ確かにアーミーのメンかもしれんけどさ、武者は。しかもなんか、紙の箱に入っていた通常版よりも安くなっている。イケるでしょ、シャレで買える値段でしょ、というメーカーからのメッセージが聞こえてくる。おれもシャレで買いました。

まず買って笑ったのがプラスチックの色。透明な箱の外から部品の色は見えるっちゃ見えるんだけど、バチバチ組んで塊になった時の色が、完全にグリーンアーミーメン。それも『トイ・ストーリー』のアンディの家にあったようなやつっていうよりは、ちょっと前にヴィレッジヴァンガードみたいな雑貨屋によく置いてあった、全高13センチくらいの大きめの樹脂の塊みたいなタイプの、どこのメーカーが作ってたんだか全然わかんないグリーンアーミーメンもどきみたいなフィギュア。あれの色合いです。わかりますかね。20年くらい前の雑貨屋にはよく置いてたんですよ。わからなかったら「グリーンアーミーメン 大きめ」で画像検索してみてください。あの透け感があんまりない、「安いな〜」って言いたくなっちゃうようなバカっぽくてペットリした緑色を完全再現しています。えらい。

そのくせモールドがやたらシャープで、鎧のディテールも衣服の皺もカッチカチに成形されているのがウケる。頭を左に向けてるポーズだから兜の錣の部分が右の大袖の上のところに乗り上げてグニャッてなってる様子とか、大袖の後ろと逆板を結んでる掛緒が重力に引っ張られてだら〜んってなってるとことかが、ゾクゾクするような精度で立体になってるわけです。成形色がバカで、モールドは大真面目。温度差がすごい。サウナみたいなプラモだ。

そしてこのプラモデルの発明が、「グリーンアーミーメンと言い張って毒の沼みたいな色のプラスチックにしてしまえば、プラモに色を塗らなくて済む」というところです。鎧武者は凸凹してて面白いし、確かに色を塗ったら楽しそうなキットではある。が、それをやるのはちょっとめんどくさい。高精度な部品をベタベタくっつけて、「鎧武者ってすげ〜格好してんな」と思ったら即寝たい。が、翌朝になって色も塗ってないプラモが視界に入るのはちょっとヤダ……。そんな心理に「これは塗らなくていいやつなんですよ」と寄り添ってくれるのが、グリーンアーミー鎧武者メンなんですね。なんせグリーンアーミーメンなんだから、この色でそのまま突っ立ってるのが正解。だって箱にそう書いてあるんだもん。

ということで、塗らなくても罪悪感ゼロ、むしろ塗るほうが無粋(別に塗ってもいいけど)、というこのキットのスタンスを粋に感じて、もちろんうちでも塗らずにNintendo Switchのドックの前に立たせてます。というかこのキットを組んでから、「この世の全ての兵隊人形がこの色で出てくれればいいのにな〜」とすら思っております。えっ、ピンクのも発売されるんですか。それは困ったなぁ……。