タミヤ新作、ドイツIV号駆逐戦車/70(A)のみどころのひとつが”トーマ・シールド”です。対戦車ライフルの弾丸や成形炸薬弾が飛んできても本体に直接被害が出ないように、車体の外側に鉄板をぶら下げていたのが「シュルツェン」ですが、大戦末期になってくると手間がかかっても軽くて少ない材料で作れる金網のシールド(=トーマ・シールド)が装備されるようになりました。
この金網が付いていると「戦争もいよいよ最終局面だぜ……」というヒリヒリした感じが演出できるので、私もいつか作ってみたい物体なのでした。ちなみにタミヤがこれを立体化するのは初めてのことです。
さて、プラスチックで目の細かい金網を再現するのはちょっと無理があります。そこでドイツIV号駆逐戦車/70(A)には極薄金属板を加工したエッチングパーツが同梱されています。これをプラスチックの枠パーツに貼り付けてトーマ・シールドを作る……というのがこのキットの最難関ポイントかも。プラスチックパーツ同士は普通の接着剤で貼れますが、金属パーツとプラスチックパーツは瞬間接着剤で貼ることが推奨されています。
タミヤもその加工が難しいことはちゃんと理解しているので、金網がプラパーツに乗っかるように枠の縁に僅かな段差を設ける設計にしてあります。幅0.5mmもないくらいの段差ですが、ここに瞬間接着剤を盛ってから、エッチングパーツをそっと乗せればOK。狭い空間に適量の瞬間接着剤を塗りたいときは、専用の道具を使うのがオススメ。私は造形村の「瞬着ぬりぬり君」を使いました。地味な工具ですが、持っててよかった……。
車体側面にしこしこと生やしたシュルツェンステーに左右合計6枚のトーマ・シールドをひっかければ完成。金属パーツを扱うといきなり上級者っぽい満足感と、プラスチックパーツではまず再現できないような薄さと細かさがモデルに付加されます。
エッチングパーツというと肉眼では見えないような細かい作業がつきものですが、こんなふうに大きくて作業性がよくて効果的なものを用意してもらえると、背伸びしやすくていいですね。ここで自信をつければ明日できる工作の幅も広がろうというもの。みなさんもビビらずに挑んでください。そんじゃまた。
模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』https://wivern.exblog.jp の中の人。