

タミヤの1/35ミリタリーミニチュアシリーズ最新作、ドイツIV号駆逐戦車/70(A)を組んだ。細部のディテールまできっちり再現しようという意気込みのおかげで、わりと全体的にパーツが多くて細かい。昔の「コレとコレがバーンと組み合わさって戦車の形になるのであろう」というワイルドな雰囲気を想像していると面食らうかもしれないけど、大丈夫、ちゃんと落ち着いて組めば必ずゴールできるようになっているのがタミヤのプラモのいいところ。

なかでも大振りなパーツが車体にのっかる戦闘室。左右と前面が一体になっているけど、圧延鋼板のザラッとした風合いとかギザギザに切り欠いて組み合わせたカドの部分の切削痕、溶接のディテールは初めてタミヤの戦車模型を作ったときの感動を思い出す。こういう彫刻を見ているだけで「オレはいま、なんかとっても本物に近いものを組んでいるな!」という気分になるよね。

さて、パーツが多いということは組み立てにけっこう時間がかかる。毎日ちょっとずつの時間でちょこまか組んでいたが、戦車らしい形になってからがなかなか長い。一見ハコのような車両でも、さまざまな装備がくっついていたり、シュルツェン(追加装甲みたいなもん)を取り付けるための仕組みなんかも「なるほど、凝っているな」と思わされる。プラモデルにはダイナミズム……つまり、ドラマチックにカタチが変化するいい感じのスピードがほしいと思う自分にとってみれば、なかなか忍耐力を試される。

忍耐が報われる瞬間があるとすれば、最後に乗せるコマンダーのフィギュアだ。胴体の前面がガッポリ空洞になっていたり、帽子を被っているのにオデコのところがえぐれていたり、ヘッドホンの片方が耳にくっついた状態になっていたりと、「どうしてこうなっているんだ?」と不思議になる設計。
どうしてなのかをここで書くことはできるが、僕はこのフィギュアの組み立てこそ本キットの核心部であり、いちばんのワンダーだと思うのであえて書かない。キミが手に取り、その目で確かめてほしい。必ず「ああ!そんなことのためにこうなっているのか!」と驚き、声を上げるはずだ。

ジリジリと歩を進めるように目指すゴール。山の頂上に立った瞬間に広がる晴れ渡った景色。このプラモデルの最後の最後に、最高のご褒美が待っている。開いたハッチにこの傑作フィギュアを乗せる瞬間こそが、カタチや精度のその先にある「設計の妙」なのだと思う。