マイフェイバリット漫画『ジョジョの奇妙な冒険』には、戦闘機の形をしたスタンドが出てきます。その名は「エアロスミス」。エアロスミスの主翼はいわゆる逆ガルという形で、当時中学生の私に強烈なイメージを植え付けていきました。昨年初めて作った戦闘機のプラモデルが零戦だったんですが、主流であるはずの真っすぐな翼が最初はなんだかしっくり来なかった。
先日手に入れたのはその逆ガル翼を持つ戦闘機、F4U-1D コルセア。ハセガワの1/72コルセアは凸と凹のモールドが混在していて、ベテランキットの雰囲気が漂います。ネイビーのカラーリングやイケてるチェック柄からクールなイメージがあったけど、パーツを見てみるとなかなかにパワフル!グイッと折れ曲がった翼は想像していたよりもずっと大きく、前後の幅が広くてインパクトあります。プロペラも大きいし。
さて主翼の下側をカバーするパーツは左右の翼が一体化されていますが、このパーツ、ランナーには機体下面を上側にして配置されています。ということは逆ガルの逆、つまりガルの状態なんです。ガルとはすなわちカモメ(gull)の意。絶妙な角度に翼を曲げてスタンバイしています。普段は説明書の順番通りに組んでいくけど、これはもう翼を一番に組むっきゃないぜ……。
小さいパーツを忘れずに挟み込み、主翼の上下を貼り合わせます。気が急いている時にも速乾性の流し込み接着剤があれば問題なし。チョンと隙間に流して押さえておけば、次の手順を確認する十数秒の間にしっかり接着してくれます。大きなパーツは何箇所かチョンチョンしましょう。主翼を手にベランダへ出て、日が落ちる直前に空へ飛ばすと、細かい凸モールド周りや大きな脚庫の窪みに影が落ちて美しい。翼の下面は完成して飾ったらあまり見えなくなるだろうから、今のうちに気付いてよかった。
ほとんどの場合、箱絵を見ればプラモの完成形はわかるようになっています。でもパーツがどのように分割されているか、途中どんな形を辿るのかは箱を開けて作ってみないとわからない。そこに「○○みたいで面白い!」とか「何物でもないけど爆裂カッコいいカタチ!」という感動が入り込む余地があるというのは、プラモの素晴らしいところだと思います。
1986年生まれ。東北の住みよい街にて、のんびりとプラモデルをいじる日々を送っている。ファレホLOVE。