最新記事やプラモデル情報を毎日お届け!
follow on Xをフォロー!

【レビュー】その濃ゆいキャラクターがエリア88出演を決めた/ハセガワ 1:72 クフィルC2を味わおう

 その知名度の高さはほぼマンガ『エリア88』のおかげと言っていいでしょう(逆にエリア88を読んだことがない人はほとんど知らない飛行機なのかも……)。ハセガワの1/72 クフィルC2です。フランス生まれのミラージュIIIという戦闘機をベースにして生まれたイスラエル産の戦闘機なのですが、日本ではアスラン王国での活躍をイメージする人が多いはずです。実機ができるまでの経緯はかなりキナ臭く、本機の持つ妖しい魅力はそこに由来するのかもしれません。

ハセガワ(Hasegawa)
¥731 (2026/04/21 20:58時点 | Amazon調べ)

 さて、ハセガワ製のミラージュというと高翼型のF.1Cが発売されているのみ。かつて一世を風靡したアイマス機でもミラージュ2000があったじゃないかと思うかもしれませんが、1/72スケールはイタレリ製、1/48スケールはモノグラム製(当時はアメリカレベルが金型を保有)をベースにハセガワがリパッケージしたものでした。そう考えるとミラージュファミリーをすっ飛ばしてクフィルがプラモデルになっているのはザクがないのにデザートザクだけ商品化されているようなものなので、当時それだけ興味深い対象だったのでしょう。

ハセガワ(Hasegawa)
¥705 (2026/04/21 21:13時点 | Amazon調べ)

 犬歯に例えられる主翼前縁のトンガリが目立つ伸びやかなデルタ翼。表面のディテールは凹凸入り混じる古式ゆかしい雰囲気ではあるものの、完成したときの存在感や繊細さはある意味でいまのプラモデルから失われたものとも言えます。機体下面も優美な曲面と強弱のある彫刻があいまって思わず見とれてしまう景色。ともすれば飛行機模型は「合わせ目を消す」とか「凸のラインをスジ彫りに改める」といった作法が様式化されがちですが、この彫刻をそのまま味わうのもこのキットに対峙するひとつの立派な態度だと思います。

 胴体左右竹割り、スラリとした機首にピトー管までくっついてるのがこのキットのスピード感を保証してくれます。原型機の名残とも取れる「真ん中がくびれた増槽」なんかはエキゾチズムを感じさせるポイントですし、空対空ミサイルが2本くっついているだけのシンプルな武装でも強そうなシルエットを形作るのにひと役買っています。ちなみに説明書ではハセガワのエアクラフトウエポンセットからAIM-9DやMk.82爆弾を持ってきて搭載する方法も解説されています。

 クフィルC2の実戦配備からさほど離れていない1979年に発売されたキットの初出時はデザートカラーの3色迷彩が目印。しかし1986年に現在でも使用されている「グレー2色の制空迷彩のパッケージイラスト」に変更されました。これはより近代的な見た目のほうがキットもアップデートされている雰囲気になる……という思惑ががあったんじゃないかな、と想像できます。キットにはちゃんとどちらの迷彩でも仕上げられるようデカールが2パターン入っているのでお好みで作れるのが嬉しい。いまなら一周回ってデザートカラーのパッケージイラストにするともっと売れそうな気もします。こういう変遷は「一周回って昔のスタイルがしっくりくる」的なファッションの流行みたいで面白いよね。

 コロンビア、エクアドル、スリランカ、アメリカ合衆国でも運用されていてそれぞれ個性的。その出自も複雑なら、デビュー後の活躍もなかなかに数奇な運命を辿っているクフィルなので、想像力を逞しくしながらマイオリジナルな塗装も楽しめるってもんです。デルタ翼機ならでの広い面をどんな色で楽しむか、ぜひとも皆さん贅沢に悩んでください。そんじゃまた。

ハセガワ(Hasegawa)
¥731 (2026/04/21 20:58時点 | Amazon調べ)
からぱたのプロフィール

からぱた/nippper.com 編集長

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』https://wivern.exblog.jp の中の人。

関連記事