
わ、こりゃかなわん!と思ったね。プラモの箱を開けて「クルマのボディに色がついている」というのはとても嬉しいこと。さらにそれがすごく良い色で、テロテロの艶を纏っていたりすると「これよりうまく塗るのは難しいぞ」とさらに嬉しくなってしまう。アオシマのザ・スナップキットシリーズ最新作、待望の新型フェアレディZですよ。見てくださいこのイカヅチイエロー。ほんのちょっと透け感がある黄色い樹脂のなかに、控えめに踊るメタリックのフレーク。これこれ、オレが銀座で見たRZ34はホントにこの感じだった!

タミヤのRZ34ではこのイエローを「LP-8 ピュアーイエローとLP-43 パールホワイトを1:1で混ぜたもの」と指定していた。金属色じゃなくてパールホワイトとしたのは、黄色の発色を抑えつつプラモ用塗料でもギラツキを最低限に抑えたメタリック感を出すためだと思う。実際にこの色を作ってみるとわかるが、相当黄色が薄く感じられて、「これからクルマを黄色く塗ろう」と思っている人は不安に駆られるほど。実際オレも見た目に薄い塗料にビビって黄色を足してしまい、完成してから「ちょっと濃い目の黄色になってしまったな……」と感じていた。

自分が目見当で塗料を調合して塗ったタミヤのRZ34は確かにメタリック感のある黄色なのだが、離れて眺めるとどうみても「黄色い自動車です!」という感じで、イカヅチイエローとはちょっと違う。それと比べて右側のアオシマのプラスチック色はどうだ。これぞイカヅチイエローです。参りました、という感じ。写真では伝わりづらいので、これはぜひともプラモデルを手にとってしげしげと眺めてみてほしい。本当に本当に、似ている。なんならこの感触は「塗装」じゃちょっと味わえないものだと思う。プラスチックという樹脂に封じ込められた絶妙な成分が織りなす構造。これを味わえるのは、プラモ好きの特権だ。

ルーフがテカテカの黒パーツで用意されているのもいい。アオシマのザ・スナップキットシリーズはただの「簡単なプラモデル」じゃなくて、実車の佇まいをミニマルに表現することにいつだって本気だ。シリーズを重ねても飽きずに組み立て続けられるのは、そんなこだわりをいつもどこかに感じるからなのかもしれない。