すっごく好きなんですよ今回の新型Z。「日産はエンジンで走るクルマを諦めない!」という意思がそのまま形になっているみたいだし、歴代フェアレディZの意匠を丁寧に踏襲してイマドキの雰囲気にまとめ上げているのも好き。そんなクルマのプラモデルがタミヤから出たらこれはもう満貫ですよ満貫。跳満くらいでもいいかな。とりあえず最新カーモデルはいつだってチャレンジの連続。まずは買おう。そして組み立てよう!
銀色/黒/白/透明の4色のパーツが入っているのはタミヤの「いつもどおり」という感じで安心。メカメカしい銀色のパーツ、ツヤの有無を使い分けた黒のパーツは惚れ惚れする彫刻で組む前から目を楽しませてくれます。が、これはハコを開けて最初の印象に過ぎない。新型フェアレディZ、なかなかに凝った作りになっているので、タミヤもこれをどうやってプラモデルに落とし込むかをウンウン考えた形跡が残っている。
とりあえず赤いブレーキキャリパーは塗ったけど(完成後も目立つからね)、それ以外は手早く貼っていきます。本物はもう少し複雑な塗り分けなので説明書の言うとおりに塗装してもOK。クルマの裏側をひっくり返して見られるのはプラモデルならではの楽しみだけど、完成したら目立たないから、やりたいところだけやるでも、真っ黒に塗ってしまうのもアリ……ってタミヤの人も昔ロードスターのプラモデルを発売したときに言ってたな。
シャーシはちょっと塗り分けが複雑なので「塗ったほうがいいかもね」というメッセージなのでしょう。白いプラスチックでした。私はとりあえずセミグロスブラックでドバーンと一気に塗装して、それ以外はプラスチックの色のまま進行。スポーツカーらしいスパルタンな見た目、排気管の独特な取り回しも楽しいっすね。ここはなんの心配もなくサクサク組み立ててOK。
このプラモ、室内の出来が本当にいいんですよね。しかし黒とアクセントカラーが入り乱れたデザインは塗り分けが結構大変そう。じつはマスキングいらずで、色の違うところは全部パーツが分割されています。わりと繊細なパーツが多くて、ここ最近のタミヤのカーモデルとしては細かい工程が多いかも。凝ったクルマのプラモは、塗りやすさを優先すると凝った作りになるもんですねぇ。
ボディも黒い部分や銀のラインをキレイに再現できるよう分割されていて、これを寄木細工のように組み立てていきます。正直、気を使うところが多いモデルなので「初めてのカーモデル」という場合はそれなりに根気が必要そうだと感じました。さて、ボンネットの裏側に小さなパーツを貼る指示があって、これはいったいなんなんだろう……と組みながら思っていたんですよね。
カーモデルってシャーシとボディを合体するときにオーバーハング(フロントタイヤの前、リアタイヤの後ろ)に強引にシャーシをねじ込む設計のものが多いのですが、塗装していろんなパーツをくっつけたボディをワギワギ言わせながらたわませるのってちょっと怖い。この工程が苦手な人も結構います。しかしこのプラモデルではボンネット裏の爪がフロントのタイヤハウスに設けられた切り欠きにカチッとハマることでボディが固定されます。これナイスアイディアだな〜!組み立て最終盤にあっと驚かされました。
タミヤの新型フェアレディZ、商品紹介のページにもたくさんのセールスポイントが書かれていますが、室内の気配りやボディとシャーシの接合方法なんかは組んでみて初めてわかるもの。凝ったクルマの凝ったプラモなので、組み立ての手順はかなり綿密に設計されています。
我流でねじ伏せるモデリングと言うよりは、とても高解像度なロールプレイングゲームをじっくりと味わうような、タミヤの描くストーリーを感じさせる体験。貴方の好きなボディカラーと室内用のアクセントカラー、そしてたっぷりのセミグロスブラックを用意して、ぜひともこのアイテムに挑んでください。きっと「なんかすごい体験をしたな!」という感触が残るはずです。