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「1/24スケール」は感謝の印/amt ピータービルト378 ロングハウラー セミトラクター

 はじまりは1969年だった。当時のamtは数多くの成功と同じくらいたくさんの蹉跌を味わっていた。円満だったとはいえ、副社長まで務めたチーフ・エンジニアとその片腕が同社を去って同業の新会社を興し、それまで順風満帆だったアニュアル・キット事業(自動車メーカーの毎年の新作をタイムリーに模型化するamtにとってのドル箱事業)における、これ以上ないほど手ごわいライバルとなってしまったのがケチのつきはじめ。

 「このまま新作乗用車だけ作っていてもだめだ」

 「青い海を探せ。ライバルのいない青い海を」

 「5ドルだ。毎回欠かさず新製品に5ドル払ってくれるファンの心をつかむんだ」

▲運転席の後ろにはスリーパー……つまりベッドの入った部屋も備えている

 そんな暗中模索の中、産み落とされたのがピータービルト359、カリフォルニア・ハウラー。amtが手がけた最初の大型トラクターヘッドのキットで、もちろん1/25スケール。それまで平均が1ドル50、どんなに特別なキットでも2ドルが関の山だった車のプラモデルでは破格の5ドルの値を付けた。吉と出るか凶と出るか不安でたまらなかっただろう発売前夜のamtは、鳴り物でそれをかき消すようにオール・アメリカン・ショー&ゴーという空前の懸賞キャンペーンを同時に張って、そっとこの試みを世に送り出した。

 しかし、ファンは間違いなくそこにいた。

▲ラダーフレームに補機類を取り付ける構造。シャシー周りは黒いプラスチックだ

 爆発的な売れ行きとはいかないまでも、不安に苛まれたamtを安堵させるほどにこの359というトラックには大勢が気前よく5ドルをはずんだ。この359に続いてリリースされたやはり5ドルの大型トラック、シェビー・タイタン90、キャブオーバーのピータービルト352、ケンワースW925、オートカーA64B──いずれのタイトルもが手堅く売れた。amtで育ったキッズたちは、amtを決して裏切らない一群のビッグブラザーにすっかり成長していたのだ。

 もう一方では降って湧いたスタートレック・ブームを慌ただしくさばくamtを、決して小さくない力で支えた大型トラックのプラモデル開発。しかし1978年、同社を買収した新しい親会社によって同シリーズは思わぬ停滞に陥ってしまう。「既にあるものはいい。だが、コストのかかる新開発をわが社は歓迎しない」

▲420馬力を発生するデトロイト・ディーゼル シリーズ60エンジンはこんなにも巨大なのだ

 ろうそくのように突然吹き消えたと思われた大型トラック・モデリングの灯、そして一時は路頭に迷ったビッグブラザーたちの行く末を、遠くイタリアから手を延べたグッド・フェローズ──イタレリが守ったのだ。1962年創業のこのイタリアの老舗は、1/24スケールというわずかな差異こそあれ、またヨーロッパとの嗜好の違いこそあれ、見事にamtの不在を埋めた。1/24スケールの大型トラックは同社の無視しがたい看板商品となり、そんなさなかに登場したイタレリのピータービルト378を、アメリカのビッグブラザーたちはかつてのamt359のように愛した。

▲ボディカラーで仕上げるべきパーツはすべて白。好みの色で長旅に出かけよう

 amt伝統のクラシック・ボックスを今回、1/24スケールのイタレリ378がまとって登場したことに大きな意味があるのだ。1/24スケールであることをごまかすことなく表記するのは、たとえばロベルトというイタリア男を決してロバート呼ばわりしないタイプの敬意のあらわれだ。

 ピータービルト378は本当にいいキットだ。コンチネンタル・ローマの気が利くソムリエなら、今回のキットを前に最高のワインのコルクを抜いて「イタリアの思い出に」と杯を差し出すだろう。

 さあ、みんなも景気よくやってくれ。

bantowblogのプロフィール

bantowblog

1972年生まれ。元トライスタージャパン/オリオンモデルズ、旧ビーバーコーポレーション勤務を経て、今はアメリカンカープラモの深淵にどっぷり。毎週土曜22時から「バントウスペース」をホスト中。

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