配備から50年経っても現役の未来的対空戦車、タミヤ1/35MMのゲパルトを組む!

 結局オレはタミヤのプラモデルで戦車を知ったんだな、と思う。世界にはいろんな戦車があるけど、タミヤの1/35ミリタリーミニチュアシリーズに登場する戦車なら、だいたいのカタチと名前はわかるわけです。テレビを見ていて「あっ」と思うのは、模型店の棚で何度となく見た人がそこに”出演”しているからなんだよね。

 昨年末にウクライナに引っ張り出され、その活躍が報じられたドイツのゲパルト対空戦車は、まさしくその代表格。戦車のカタチをしているけど、砲塔の左右にはデッカい機関砲が付いていて、後ろでレーダーがぐるぐる回っている。あまりにわかりやすいキャラクター性。こういう「誰がどう見ても人気がありそうなメカ」というのはオレの中でちょっと避けられがちだったのだけど、最近はもう何もかもを「今が旬」だと思うようになりました。

 いちばん感動したのは車体後部上面のエンジングリルに金網が奢られていること!金網を再現する方法として、タミヤMMでは「同梱された樹脂製のメッシュを図面に合わせて自分で切り取る」というのが常套手段なのだけど、あれは柔らかくて真っ直ぐ切るのがむずかしいし、ただ編んであるだけのメッシュなので、切断する端からほつれてしまう。さらに接着には何を使うのが適しているのか、20年以上遊んでいてもまだ正解がわかりません。

 しかしゲパルトにはジャストサイズの金網が入っていて、これを車体と枠のパーツでサンドイッチするように貼れば固定されるという仕組み。固くて線の太さもしっかりしていて「ああ、戦車の金網はぜーんぶこれにしてほしいな」と本気で思います。この金網に会うために買ってもいいくらいのプラモデルだと思います。

 商品名にいまだ「西ドイツ」の名前が入ったこのキットは1977年にデビューしました。この時代のタミヤ1/35MMはひとつひとつのパーツがそこまで小さすぎず、少ない手数でガンガン組み上がるのがめっちゃ楽しい。ディテールは少々大味だけどハッキリと凹凸に富んだものなので、SFメカっぽいスタイルと相まってとても情報量が多い。タイトに、スピーディーに味の濃い料理ができあがるような雰囲気は、プラモデルの持つ「良いバランス」のお手本みたいじゃありませんか。

 砲塔後部にあるのは全周警戒レーダー。これが高速回転して迫りくる空の脅威を感知し、砲塔前方の射撃統制レーダーとリンクすることで射撃距離や角度が自動的に算出されるという塩梅。明らかに戦中のメカニズムと異なるコンピューター制御の対空砲は、その次世代感を盛り込むために砲塔後部のハッチを開けて電子制御が拝める。この演出って……『マクロス』のデストロイドモンスターのプラモにそっくり。開けて飾るかどうかは置いといて、「そこに射撃管制装置が入ってるんですよ」という目配せが本当にイカす。

 前後のレーダーはぐるぐる回ったり俯仰をいじれたりして可動モデルとしての味わいも豊か。そして左右の機関砲はあっと驚く方法でクリック式の固定ギミックが実装されています。カチカチカチっと音を立てて角度がビシッと決まるこの感触もまた、ゲパルトの模型のレビューではなかなか読んだことがなかったので新鮮!

 履帯はぐるっと巻けばOKなベルト式で、車体上下はなんとポリキャップによる接続。硬派に思える戦車模型にも、見た目SFメカだしそこかしこがグリグリ動いて楽しいというプレイバリューを存分に感じられるアイテムが潜んでいたんすね〜。とてもお安く、そしていまだ現役のゲパルト。「ちょっと古いな」と遠ざけずに、みなさんもぜひ組んでください。おもろいです。

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からぱた/nippper.com 編集長

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』https://wivern.exblog.jp の中の人。