
ハロウィンが終わったこの時期、街は早くもクリスマスの雰囲気。雑貨屋やホームセンターなどさまざまなお店に関連商品が並びます。写真の商品はIKEAで見つけたVINTERFINT ヴィンテルフィントというモミの木の3点セットですが、要は「樹木のミニチュア」。4~6cm程度の小さな針葉樹は鉄道模型用品として売られていますが、これぐらいのサイズは案外入手困難で、あっても高価な輸入品になってしまいます。
昭和の頃のジオラマビルダーはザイザル麻製のモールブラシから針葉樹を作るのが定番だったそうですが、令和の現代ではクリスマスシーズンになるとミニチュアツリーが売られるようになりました。便利な時代です。そして21世紀にモールブラシを探そうとすると、妙に高価で戸惑います。
■IKEA VINTERFINT ヴィンテルフィント デコレーション3点セット, クリスマスツリー グリーン
https://www.ikea.com/jp/ja/p/vinterfint-decoration-set-of-3-christmas-tree-green-40524412/
このまま使っても悪くないのですが、ストレートな枝葉とシルエットは少々抽象的。ひと手間かけるとジオラマにも使える実感的なミニチュア樹木になります。
円錐形のシルエットに少しハサミを入れて、アウトラインを少し乱してやると自然に見えます。IKEAのツリーは樹脂素材のため、ライターで炙ると手っ取り早く凹凸になりました。毛先が球形に丸まるのも後で葉を付ける際の取っ掛かりになるので好都合です。火を近づけすぎるなど油断すると燃えてしまうので、くれぐれも火事にはご注意を。

木工用ボンドを牛乳程度の濃さになるまで水で溶き、ハジキを防ぐために中性洗剤を少々。より現代的な方法として、リキテックスのマットメディウムを薄めて使う方法もあり、接着力の強さと乾燥時間の短さでは上位互換になります。あとは天ぷらに衣をまとわせるように葉となるカラーパウダーをパラパラ。今回は市販品ではなく鋸屑をアクリル絵の具で着色したものを使っています。乾燥した後に葉が落ちるようなら何度か追いボンドしてみて下さい。
スプレー糊も試してみましたが、いつまでもベタベタして乾燥せず、埃を呼ぶためオススメできません。スプレー糊というのは、接着剤ではなく粘着剤というジャンルになるそうです。
今回使用したカラーパウダーはDIYで出た鋸屑をアクリル絵の具で着色したもの。好みの色にでき、木質繊維の尖り具合にも針葉樹らしさが出たようです。

未加工のものと一緒に並べてみました。樹木は背丈サイズの若木から見上げるほどの巨木まで相似形で、これが本当の「ノンスケール」なのでしょう。1/24スケールのヨシおじさんと並ぶとショッピングモールにあるクリスマスツリー相当の大きさ。100均のアクセサリーコーナーで小さなオーナメントを探して飾り付けるのも楽しそう…ジオラマの地面に植え込むつもりでしたが、今年いっぱいは本来の役目で楽しむことになりそうです。メリークリスマス!
ミニチュアツリーは今回のブラシ型のほか、軟質樹脂の成型品もよく見かけますが、これらもパウダーの葉をつけると見違えます。