砂漠のアニキパラダイス!!「タミヤ ドイツ陸軍 アフリカ軍団 空軍砲兵セット」は北アフリカの景色が見えるプラモデルだ。

▲もう成型色から北アフリカな砲兵隊の皆さんです

 第二次世界大戦で敵戦車を破壊しまくったドイツ軍の大砲として有名なのが、88㎜砲です。この88㎜砲、ドイツ軍の表記では「8.8㎝ FLAK 36(もしくは37)」という名称になりますが、このFLAKというのはドイツ語で対空砲という意味の単語「Flugabwehrkanone」を縮めたもの。つまり、元々は戦車を攻撃するためではなく、飛行機を撃つために作った大砲だったわけです。

▲こちらはタミヤのプラモ史に残る傑作「ミリタリーミニチュア No.17 ドイツ陸軍 88ミリ砲」のプラモ。どんなキットかは下のリンクから読んでみてね

 飛行機を攻撃するなら空軍の仕事、ということでドイツ軍での88㎜砲の運用は基本的に空軍の兵士が担当していました。なんせ前線の陸軍部隊は四六時中敵の航空機から攻撃されるので、88㎜砲担当の空軍兵士も陸軍の部隊にくっついて移動します。そのため「飛行機じゃなくて戦車を撃ってくれ!」という味方の陸軍部隊からのリクエストにも応えやすかった。高射砲はめちゃくちゃ高いところまで砲弾を飛ばすのが目的なので威力も強く、当然戦車を撃っても超強力。結果的に88㎜砲は戦史に残るタンクキラーとして名を馳せたわけですね。

▲箱絵はおなじみ大西先生。アフリカの日差しを感じる素晴らしいイラスト
▲全員見事にサンドカラー

 というわけで、そんな88㎜砲を操作する空軍のクルーたちを立体化したキットが、「ドイツ アフリカ軍団 空軍砲兵セット」です。88㎜砲のプラモデルと言えばタミヤMMではクラシック中のクラシックとして知られるキットですが、このキットは2006年に北アフリカで運用された仕様にリニューアルされました。その時に作り起こされた砲兵のフィギュアを、バラ売りにしたのがこの「空軍砲兵セット」なのです。

 北アフリカは、88㎜砲が大活躍した戦場のひとつです。遮蔽物が少なくだだっ広い北アフリカの戦場において、近づいてくる連合軍の戦車を遠距離から狙い打てる88㎜砲は強力な武器でした。超名作キットをリニューアルするにあたって、そんな大活躍シチュエーションをピックアップしたタミヤの気持ちはよくわかります。88㎜砲自体は普通にそのままなので、「今度は北アフリカですよ!」とアピールできるのは砲兵のフィギュアや周辺の小物。今回の「空軍砲兵セット」は、そんなタミヤの主張が込められたフィギュアです。

▲フィギュアと装備品という、タミヤの伝統的なランナー配置です
▲パーツ分割もオーソドックス。実家のような安心感!
▲短パンの人もいるあたりがいかにも北アフリカです

 箱の中身はランナー2枚。8人のクルーたちと、砲弾ケースや測距儀といった砲兵チームの装備品とに分かれています。フィギュア自体は3Dモデリングで製作される前のもので、パーツの分割も現在のトリッキーなものではなく「胴体! 頭! 腕!」のようなシンプルなもの。まっすぐ立っている人たちが多いので上半身と下半身もつながっております。フィギュアの服装も、太めのズボンや短パン、開襟シャツ型の上衣といった、いかにもアフリカ軍団っぽいもの。左脚に大きなポケットが取り付けられているズボンは空軍特有の装備なのだそうです。

▲この謎の棒は三角関数を使って距離を測る測距儀。下の三角形の部品は測距儀を担ぐためのフレームです
▲組み上がった測距儀。旧バージョンの88㎜砲では素手で測距儀を構えている人がついていましたが、今回はフレームがついてて嬉しい!
▲砲弾も2種類付属。短い方が徹甲弾で長い方が榴弾です
▲その他の小物も充実。籐製砲弾ケースのカゴっぽさに注目!

 一方で装備品ランナーの方はかなり砲兵独特な内容。棒状の測距儀や砲弾と薬莢、籐製の砲弾ケースといったアイテムが並びます。特に砲弾ケースは完成度高め。88㎜砲の砲弾は籐を編んで作られた箱に入っていたのですが、モールドで編まれた籐のデコボコをうまく再現しており、なかなかの立体感。砲隊鏡の三脚の伸び縮みしそうな感じといい、小物の完成度はさすがですね

▲一番暑そうなアニキ。砲兵たちを指揮する班長を務めているとのこと。現場監督ですね
▲完全に土建業の人と化したアニキたち。戦争では土木も重要だということを僕らに教えてくれます
▲▲測距儀で距離を測るアニキ。この測距儀は6キロ以上の重さがあるそうで、そりゃハーネスも必要だよなという感じですね
▲ひたすら砲弾を運ぶアニキたち。砲兵の仕事は基本肉体労働だということがよくわかりますね
▲このアニキは中隊指揮官。現場監督に指示を出しにきた偉い人という感じです

 組み上がってみると、見事に北アフリカの砲兵という感じ。なんだかバラバラでユルい服装が実に北アフリカらしいですね。戦闘中の激しいポーズというよりは「砲弾を運びつつ攻撃予定の区画を指示している」みたいなシチュエーションなので、割と使い道が広そうなのも特徴です。

 もちろん88㎜砲と組み合わせても良いんですが、タミヤの88㎜砲キットにはこの人たちがもうすでに全員付属しているので、どちらかというとこのキットの中から使いたい人をピックアップしてジオラマなどに配置するという使い方になりそう。砲兵隊の隊長と歩兵や戦車兵の打ち合わせや、陣地構築シーンに配置するフィギュアの1体としてなど、いろいろと使い道は思い浮かびますね。以前の88㎜砲に付属していたフィギュアも名作でしたが、なんせバリバリに戦闘中な上に芝居が濃いめでした。それに比べるとリニューアル版は穏当なポージングになっているので、シチュエーションを選ばず使えそうです。

▲アイデア次第で、いろんなシチュエーションと組み合わせられそう

 というわけで、「ドイツ アフリカ軍団 空軍砲兵セット」でした。偉大な先代とは大きく雰囲気を変えつつ、汎用性高めの北アフリカ砲兵フィギュアとしてまとまりのいい内容になっていると思います。大砲と組み合わせてもそうじゃなくても絵面が締まるフィギュアだと思うので、気になった人はぜひゲットしてみてくださいね!

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しげる

ライター。岐阜県出身。元模型誌編集部勤務で現在フリー。月刊「ホビージャパン」にて「しげるのアメトイブームの話聞かせてよ!」、「ホビージャパンエクストラ」にて「しげるの代々木二丁目シネマ」連載中。プラモデル、ミリタリー、オモチャ、映画、アメコミ、鉄砲がたくさん出てくる小説などを愛好しています。