

第二次世界大戦で敵戦車を破壊しまくったドイツ軍の大砲として有名なのが、88㎜砲です。この88㎜砲、ドイツ軍の表記では「8.8㎝ FLAK 36(もしくは37)」という名称になりますが、このFLAKというのはドイツ語で対空砲という意味の単語「Flugabwehrkanone」を縮めたもの。つまり、元々は戦車を攻撃するためではなく、飛行機を撃つために作った大砲だったわけです。

飛行機を攻撃するなら空軍の仕事、ということでドイツ軍での88㎜砲の運用は基本的に空軍の兵士が担当していました。なんせ前線の陸軍部隊は四六時中敵の航空機から攻撃されるので、88㎜砲担当の空軍兵士も陸軍の部隊にくっついて移動します。そのため「飛行機じゃなくて戦車を撃ってくれ!」という味方の陸軍部隊からのリクエストにも応えやすかった。高射砲はめちゃくちゃ高いところまで砲弾を飛ばすのが目的なので威力も強く、当然戦車を撃っても超強力。結果的に88㎜砲は戦史に残るタンクキラーとして名を馳せたわけですね。


というわけで、そんな88㎜砲を操作する空軍のクルーたちを立体化したキットが、「ドイツ アフリカ軍団 空軍砲兵セット」です。88㎜砲のプラモデルと言えばタミヤMMではクラシック中のクラシックとして知られるキットですが、このキットは2006年に北アフリカで運用された仕様にリニューアルされました。その時に作り起こされた砲兵のフィギュアを、バラ売りにしたのがこの「空軍砲兵セット」なのです。
北アフリカは、88㎜砲が大活躍した戦場のひとつです。遮蔽物が少なくだだっ広い北アフリカの戦場において、近づいてくる連合軍の戦車を遠距離から狙い打てる88㎜砲は強力な武器でした。超名作キットをリニューアルするにあたって、そんな大活躍シチュエーションをピックアップしたタミヤの気持ちはよくわかります。88㎜砲自体は普通にそのままなので、「今度は北アフリカですよ!」とアピールできるのは砲兵のフィギュアや周辺の小物。今回の「空軍砲兵セット」は、そんなタミヤの主張が込められたフィギュアです。



箱の中身はランナー2枚。8人のクルーたちと、砲弾ケースや測距儀といった砲兵チームの装備品とに分かれています。フィギュア自体は3Dモデリングで製作される前のもので、パーツの分割も現在のトリッキーなものではなく「胴体! 頭! 腕!」のようなシンプルなもの。まっすぐ立っている人たちが多いので上半身と下半身もつながっております。フィギュアの服装も、太めのズボンや短パン、開襟シャツ型の上衣といった、いかにもアフリカ軍団っぽいもの。左脚に大きなポケットが取り付けられているズボンは空軍特有の装備なのだそうです。




一方で装備品ランナーの方はかなり砲兵独特な内容。棒状の測距儀や砲弾と薬莢、籐製の砲弾ケースといったアイテムが並びます。特に砲弾ケースは完成度高め。88㎜砲の砲弾は籐を編んで作られた箱に入っていたのですが、モールドで編まれた籐のデコボコをうまく再現しており、なかなかの立体感。砲隊鏡の三脚の伸び縮みしそうな感じといい、小物の完成度はさすがですね






組み上がってみると、見事に北アフリカの砲兵という感じ。なんだかバラバラでユルい服装が実に北アフリカらしいですね。戦闘中の激しいポーズというよりは「砲弾を運びつつ攻撃予定の区画を指示している」みたいなシチュエーションなので、割と使い道が広そうなのも特徴です。
もちろん88㎜砲と組み合わせても良いんですが、タミヤの88㎜砲キットにはこの人たちがもうすでに全員付属しているので、どちらかというとこのキットの中から使いたい人をピックアップしてジオラマなどに配置するという使い方になりそう。砲兵隊の隊長と歩兵や戦車兵の打ち合わせや、陣地構築シーンに配置するフィギュアの1体としてなど、いろいろと使い道は思い浮かびますね。以前の88㎜砲に付属していたフィギュアも名作でしたが、なんせバリバリに戦闘中な上に芝居が濃いめでした。それに比べるとリニューアル版は穏当なポージングになっているので、シチュエーションを選ばず使えそうです。

というわけで、「ドイツ アフリカ軍団 空軍砲兵セット」でした。偉大な先代とは大きく雰囲気を変えつつ、汎用性高めの北アフリカ砲兵フィギュアとしてまとまりのいい内容になっていると思います。大砲と組み合わせてもそうじゃなくても絵面が締まるフィギュアだと思うので、気になった人はぜひゲットしてみてくださいね!