プラモのパッケージは「君だけの銭湯壁画」だ!/ハセガワの一式戦闘機 隼

 雲翠泉という銭湯が荒川区にあります。これが宮造りの銭湯でめちゃくちゃ趣深い。私は30年位通っているので見慣れた風景ですが、ときおり訪れる銭湯好きが興味深そうに見ているので、どうやら凄いところらしい……というのも、あまりにも通い慣れているので10年前まで気づかなかったことがあったのです。それは、小判型の湯舟が中央にあるレイアウト。雲翠泉のルーツが石川県だったということで、これは西日本の銭湯のスタイルだそうです。

 浴槽のレイアウトと打って変わって富士山は東日本のスタイル。雲翠泉は東西のスタイルを織り交ぜた独特な銭湯なんです。そしてそのペンキ絵を描いたのは今は亡きペンキ絵師の早川さん。

 ペンキ絵って定期的に描き直すものなのに、最近ちょっと修復が入った程度で10年位このまま。少しペンキがはがれたころに「ペンキ絵、描き変えないの?」って番台のおばちゃんに聞いたら「早川さんの富士山じゃないと嫌だ」って返ってきたもんだから、普段は口にはしないけど、自分が取り仕切る銭湯に並々ならぬこだわりがあることがわかりました。

 ペンキ絵って「実在しない風景をデカい壁に一発で描く」っていうヤバい仕事なんですが、それにこだわりや愛着があるのってマジでかっこいいって思います。多分、早川さんが描いている姿を見て感動したりしているんだろうな。

 今の俺にとって「マジでこだわりたい絵」はプラモデルの箱絵。特にそう好きなのはハセガワの飛行機のもの。どの絵もかっこいい。「写真でいいじゃん」とはならない良さがある。ペンキ絵だって富士山の写真で良いわけがないんですよ。どっちも絵だから感じる、風情やかっこよさがある。

 雲翠泉に訪れる一見さんは、風呂の熱さにびっくりすることが多いです。いつだったか若いアニキ3人組がどかどかと入ってきて「アチー!」とかめっちゃ騒いでるときもありました。ただ、そのアニキのうちの一人が「熱かったけど、身体の奥まであったまるから最高だなこれ!」って言ってました。この言葉が大好きで、ずっと忘れられないです。風呂の熱さも、プラモの楽しさも実際に体験しないとわからないです。

 私は雲翠泉みたいな漢字でかっこいい名前の飛行機が作りたくなったので、ハセガワの1/72 一式戦闘機隼を買ってきました。箱絵もかっこいいのを選んだので俺の銭湯が眼前に爆誕しているとも言えます。バシッと作って「かっけー!」ってなったら、銭湯を背景に写真でも撮って楽しもうと思います。あ、建物の中の写真は、許可を取ってから撮影してくださいね!

■雲翠泉
荒川区東日暮里3-16-4
営業時間 15:00~22:00(水曜定休)
電話番号 03-3801-4126
アクセス JR常磐線 三河島駅から徒歩5分

<a href="/author/crisci4mens/">クリスチ</a>
クリスチ

1987年生まれ。デザインやったり広報やったり、店長やったりして、今は普通のサラリーマン。革靴や時計など、細かく手の込んだモノが好き。部屋に模型がなんとなく飾ってある生活を日々楽しんでいます。
Re:11colorsというブログもやっています。