ペインティングダンジョン発、飛行機行き。/Heller 1/72 Fw56 STOSSER

 朝起きて、ずっと作っていなかったプラモデルのことを気に掛ける。というか、先週くらいから最近元気がないクラスメイトなのか後輩なのか友達なのかわからないけど、話しかけた方がよさそうだけど話しかけられないみたいな感じで、微妙な距離感だった。作りたいという気持ちと、どうしようかという感じが行ったり来たり。Heller 1/72 Fw56 Stosser。パラソル翼機と呼ばれる、傘の様に下から翼を骨が持ち上げるような構造が面白い。パーツ点数は少ないし、組み立てもまぁ問題ないだろうと思いながらずっと放っておいたのだけど、今朝は違った。

 新幹線の中で膝の上に乗せた弁当箱を開けるようにキットの箱を開けて、パーツを取り出すと、偶然にも朝日に照らされて透ける翼のパーツの姿を見ることができた。マーブル模様がきれいで、プラスチックといえばついつい無機質なものだと思ってしまっていたが、そういう様子ではなく表情がある。素晴らしい。

 何か良いことを見つけたような気分になったので、そのまま作ることにした。ニッパーの刃をパーツに入れてしまえば容易くスタートは切れる。最近はフィギュアばっかり塗っていたけど、こうしていちばん関心のある飛行機に戻ってくるタイミングをいつにしようかと悩んでいたところだった。きっかけって案外どこにでもある。ただ、作ってみるとつまらない配色になったことには驚いた。

 てっきりフィギュア塗装で「塗装のセンス」みたいなものが磨かれていたかと思ったらそんなことは全くなく、頭をひねってどうすればいいか考えることにした。色は悪くないけど、なんだろう。頭の中に見えているものが目の中に映ってこない感じというか。悔しくて仕方がなくて、一旦銭湯に行ったのだけど湯船に浸かりながらずっと塗装のことを考えてた。

 風呂場のタイルを眺めると一枚のタイルでもグラデーションっぽく色調が変化してたり、大理石みたいな模様が入ったりしてることに気づいて「なるほどね」と気づいたりした。全く同じように見える平面にも表情があり、それが美しかったり目に止まらないほどに自然なんだなと。

 じわじわと綱渡りのように薄めた塗料で飛行機に風合いを付けていったら、なんだかとても気分の良いものが出来上がった。いろんな色がグレーに乗っかっていてとても綺麗だ。そういえば、いつだったか朝の通勤の時に建物が生み出す影が真っ黒ではなく青みがかった色に見えた日があった。

 きっと、日常には今見えていない色がたくさん隠れていて、それを見つけられれば、きっと、良いものが作れる。

クリスチ
クリスチ

1987年生まれ。デザインやったり広報やったり、店長やったりして、今は普通のサラリーマン。革靴や時計など、細かく手の込んだモノが好き。部屋に模型がなんとなく飾ってある生活を日々楽しんでいます。
Re:11colorsというブログもやっています。