ハコスカのプラモで感じるサファリの風/アオシマ スカイライン 2000GT-R

 アオシマのザ・スナップキットを選ぶ上でひとつ気づいたことがある。シルバーやホワイトのボディは、どうしてもプラスチックの持つ質感が強く出てしまうのだ。無彩色に近いからどうしても抑揚に乏しい見た目になるし、ドシッと重い雰囲気を出したければ塗装したほうがイイかなぁと思わせる出来になる。

 もちろん塗装してもいいのだが、せっかくカラーバリエーションが展開されていることの意味を考えると、「楽プラ」としての性質をそのまま楽しみたいときに選ぶべきは鮮やかなソリッドカラーに違いない。

 何を隠そう、アオシマの楽プラシリーズにはもう慣れっこになってしまった。一体になったボディに精密極まりないシールをちまちまと貼って、簡単なインテリアと文字通り身も蓋もない構造のシャーシを組んで、合体すればハイ完成。どの車種でも起こることはほとんど同じだから、「これから何が起こるんだろう!?」というプラモのダイナミクスに起因したワクワク感はだんだん少なくなっていく。

▲ゴールドのカスタムホイールが眩しいが、ボディはなんとも茫洋とした質感だ

 でも、楽プラだからこそ確実に出来上がることの素晴らしさと、同時に展開される豊富なカラーバリエーションのおかげで「このクルマならどんな色を選ぶだろうか」と店の棚の前で悩むのが本当に楽しい。価格も抑えられているから、休日の昼下がりや晩酌のお供にスナック感覚で楽しめるカーモデルとして、ついつい手が出てしまう。「このシリーズを組むの、何度目だろう」と思いながら新作のハコスカを開ける。

 「シルバー」と書かれた箱から出てきたのはなんとも鈍い光沢のグレーに近いボディ。正直ちょっと味気ないと思った。他の色はと見渡すと、レッド、ホワイト、サファリブラウンの3色。結果のわかりきったレッドとホワイトとは違って、サファリブラウンのパッケージアートはなんとも形容しがたいくすんだオレンジ色だ。今回の「当たり」はコイツなんじゃないかと思ってハコを開ける。そして驚く。

 ハコスカの実車に塗られた「サファリブラウン」は、インターネットで見る限りとても微妙な色だ。天気や時間帯によって地味にも派手にもガラリと印象を変える不思議なオレンジ。アオシマはそれをすごく元気なイエローオレンジと解釈してプラスチックに色を付けた。箱を開けた瞬間に気持ちがパッと明るくなるこの色は、おそらくパッケージだけを見ていたら想像できないはずだ。

 ボディカラーは同じのクルマの印象をがらりと変える。自分が最初に選ばないと思っていた色が(つまり直感とはいちばん遠いカラーが)ハコスカの知らなかった魅力となって、知らない場所に連れて行ってくれた。こんな体験があると知ってしまったから、やっぱりこのシリーズで次にどんな車種がどんな色で発売されるのかすごく気になる。夏の風が吹いて、プラモデルに備わった「組み味」以外の妙に気づかされたのだ。

<a href="/author/kalapattar/">からぱた</a>/nippper.com 編集長
からぱた/nippper.com 編集長

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』http://wivern.exblog.jp の中の人。