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【レビュー】アオシマの楽プラを見る目が変わる!/灯火に宿された1:24ランエボIIIの「ピーキーな楽しさ」

 この端正な顔がパーツを切ってハメるだけで完成する……というのがアオシマの1/24 楽プラ スナップカーシリーズ最新作、「CE9A ランサーGSRエボリューションⅢ 1995」のすごいところです。プラスチックに着色済みのウインカー、カットの彫刻されたヘッドライト、その奥にキラリと光るメッキのリフレクター。どれも既存キットで見たことのある仕様ではあるのですが、このエボIIIは設計思想がかなり違う。そこんところを体感するために買っていいキットです。私はこの記事を書いたらもう一個組むことにしました。

 というのも、全日本模型ホビーショーの会場でこのエボIIIが展示されており、カーモデルとしてはまったく機能の見えない(つまり実車にはこんな部位はないだろうと思える)パーツを見つけて「これはなんですか」とスタッフに尋ねたんですね。すると、「エボIIIの特徴的なヘッドライトとウインカーを接着剤使わずに組めるようにしようとするとどうしてもクリアーパーツをボディの外側からハメるわけにいかず、考えに考えた結果このパーツにクリアーパーツをセットしてからボディ内側に取り付けるという設計になったんです」とのこと。その場では「なるほど〜」と返事をしたのですが、正直組むまで何を言ってるかわからなかったっすね。

 いざ組んでみて衝撃を受けました。ウインカーとなるクリアーオレンジのパーツを先程の妙なパーツに据え付けてから裏返したボディに嵌め込み、こんどはメッキパーツとヘッドライトを組み合わせたものをボンネット側から押し込んで回転させながらウインカーと外のツラを合わせてフロントグリルの裏側のダボで固定する……って文字で書いても全然わかんないんだけどスゲーんだよこの設計。とにかくね、組んでください。全部が確実に組み合わさるようにするにはちょっとコツがいるんですが、「こんなアクロバティックな組み立てがうまくいくワケ……ある〜〜〜!」という驚きはプラモデルならではのアハ体験があります。

 エボIIIってヘッドライトとウインカーが正面からサイドに回り込んでツライチになってる上に、バンパーとフロントグリルが出っ張っていてちょっと「奥目」になってるんですよね。フツウに接着剤で貼るカーモデルなら外側からなんとかして接着してくださいとユーザーに委ねてしまうところですが、アオシマは楽プラシリーズで「接着不要」を実現するために、実車には存在しない「内部フレームのパーツ」を設けて灯火類を裏から支える構造にした。この設計思想ってかなりキャラクターモデル的というか、もっと直接的に言えばガンプラ的。

 リアコンビネーションランプはさらに後退灯とウインカーが赤いカバーに内包された意匠になっていて、これまた塗装/接着ではなかなかスキルを求められるところ。しかしこちらも色分けされたプラスチックをハメ込むだけで再現することを狙った設計になっています。そもそもクリアーのプラスチックは固く、ボディのパーツとの収縮率も違うのでハメ合わせがかなりシビア。もしスムーズに組みたければ流し込みタイプの接着剤をごくわずかに併用すると確実な組み立てが可能になります。これは灯火類以外でも「ちょっと固いな」というところに有効なので楽プラでは必須テクと言っていいかも……。

 ぶっちゃけかなりピーキーな組み味なので「誰でも簡単!」というよりも「なるほど、灯火類にはこういうソリューションがあるのか!」という驚きのほうが大きかった印象。もしかしたら楽プラというのは「このクルマのこの部位を確実に仕上げられるようにするなら、こういうイノベーションが起こせるんじゃないか」というアオシマの実験場(言うてみりゃバンダイスピリッツがかつて展開していたFigure-riseLABOみたいなもの)なのかも……と思えてきました。「”楽プラ”と銘打っているのだからユーザーが楽できるように統一された設計手法がある」というよりも、車種ごと部位ごとに異なるアプローチで新たな発見がある。そういうところに注目していくと、楽プラを見る目がかわってきた気がします。そんじゃ、次のクルマでまた会いましょう。

からぱたのプロフィール

からぱた/nippper.com 編集長

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』https://wivern.exblog.jp の中の人。

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