革靴には様々なデザインがある。そして、それぞれに由来や本来の使われ方などがある。そのストーリーが革靴をより魅力的に見せる。
そんな中で、ダブルモンクストラップというデザインの革靴がある。これはイギリスのウィリアム・ウィンザーのために考案されたデザインだ。彼向けに靴を作ったのはジョン・ロブと呼ばれるイギリスのシューメーカー。由緒あるイギリスのシューメーカーが作った、2つのストラップで甲を固定するこの靴には「ウィリアム」というモデル名がついている。
この革靴のデザインの元ネタになっているのは、飛行機乗りの靴だ。アヴィエーターブーツなどと呼ばれたりする長靴である。
アヴィエーターブーツは足の甲と、ブーツの履き口にそれぞれストラップがある。このブーツのデザインをシューズへ落とし込んだのがダブルモンクストラップシューズというわけだ。もちろん「ダブル」というくらいなのでシングルモンクストラップシューズもある。こちらは「モンク」というわけで、文字通り修道僧が履いていたサンダルを元ネタに製作されたもの。似たような見た目をしているが出自は全く違う。
私は是非いちど、アヴィエーターブーツの実物を見てみたいと思っていた。それがICMのドイツ空軍のパイロットを作っていたら突然目の前に現れた。
いや、正確にいうと塗装をしてみたら「あ、これ」と気づいたという感じだ。塗ることでプラモデルの凹凸がはっきりしたり、筆先を通じて再現されたディテールを探ることができ、履き口と甲のストラップの金具を念入りに塗ることにした。一度、そういった細部の塗装に関心が行くと、全体の素材感がはっきりとしてくる。
飛行機に関わるファッションアイテムは、フライトジャケットやパイロットウォッチなどがある。それと同じくらい、私はダブルモンクストラップシューズも空を感じさせる重要な存在だと思う。そのルーツであるアヴィエーターブーツを着用したパイロットの全体像を自らの手で塗り上げることができたというのはとても嬉しいことだ。
1987年生まれ。デザインやったり広報やったり、店長やったりして、今は普通のサラリーマン。革靴や時計など、細かく手の込んだモノが好き。部屋に模型がなんとなく飾ってある生活を日々楽しんでいます。
Re:11colorsというブログもやっています。