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バラしやすさにイギリスを感じる/英国靴を通して見る、タミヤのクォードガントラクターについて。

 良い革靴の条件というのはいくつかあります。その中でもなかなか聞く機会がないのは「バラシやすさ」。これは修理屋さん視点の話。アッパーとソールを分解してまるまる新しいソールに交換する「オールソール」と言われる作業に関わってくるポイントです。

 もう5年以上前になりますが、当時バラシやすいと言われていたのはチャーチ、トリッカーズ、エドワードグリーンなどはイギリスの名靴たち。どれもどことなく道具っぽさが残る良い靴です。タフに履いてこそな雰囲気のあるモデルが多く、エドワードグリーンに関して言えば、同価格帯のジョンロブがやや貴族っぽいムードを持っているので、それぞれ似合う似合わないの微妙な抜き差しがあるのが特に面白い世界でもあります。

 僕にとって道具としての力強さを感じるミリタリー物のプラモデルといえば、クォードガントラクターです。無骨一辺倒の大きなボディパーツはイギリス靴と何ら変わりません。そして中を作り込んでいく作業がもう完全にグッドイヤーウェルテッド製法なんですよ。

 グッドイヤーウェルテッド製法というのは多くのイギリス靴に採用されているアメリカ生まれの底付け方法。見た目はソールを糸でガシガシ縫い付けているだけですが、中身は結構複雑。図解を見るだけだと、いまいち理解しきれない。ただ、実際に靴を分解してみると「ああ、そういうことね」と理解できます。クォードガントラクターのシャーシもそんな感じで、ウィンチを組み込んだシャーシやそこに乗っかるエンジンは、パッケージアートからは想像もつかない複雑な構造。

 ひと通り組み立てても、接着さえしなければシャーシ、車内、ボディパーツと3つのユニットに分けることができます。これには塗装がしやすいというメリットがあります。スプレーで真っ黒にするのも簡単でした。組み立てて、バラして、また組み立てるというのがとても楽。

 それに、説明書には「塗装をしてから窓のクリアパーツを貼ってね」みたいなやさしいアドバイスが随所にあるので、安心して作れます。プラモデルの設計と説明書のやさしさという視点からとてもいいプラモデルだと感じました。僕も、塗装が終わったら窓のクリアパーツを貼って、完成させたいと思います。もちろん、一緒に入っている25ポンド砲も一緒に。

クリスチのプロフィール

クリスチ

1987年生まれ。デザインやったり広報やったり、店長やったりして、今は普通のサラリーマン。革靴や時計など、細かく手の込んだモノが好き。部屋に模型がなんとなく飾ってある生活を日々楽しんでいます。
Re:11colorsというブログもやっています。

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