今の気持ちに寄り添うプラモ/マイクロエースの神風号

 平和なものが作りたい。戦うやつが作りたくてプラモを始めた気でいましたが、最近それだけでもないなあと思いました。試しにバイクを作ってみたらスゲェ楽しかったっていうのもある。

 ちょうどいいのがあったよな……とプラモ置き場(崩れかかっている)から抜き出したるは、マイクロエースの1/72「神風号」です。プラモでも本でもそうなんですが、過去に買って置いてあったものが、今の気持ちにピタリと寄り添うことがあって、それに救われる心もある。そういうのって、なんかいいなあと思うんですよね。

 さて、話を戻して「神風号」です。これは朝日新聞の社用機で、物理的な速度が情報の鮮度と新聞社の社運を分けていた時代の飛行機です。

 時は1937年、ジョージ6世の戴冠式に合わせて東京からロンドンまで100時間チャレンジするぜ、ということを朝日新聞が企画します。なんかいい飛行機ないですかと陸軍に問い合わせたところ、譲り受けたのが当時最新鋭の九七式司令部偵察機(九七司偵)の試作機でした。公募により「神風号」と命名、画家の人が配色をデザインし、応援歌まで作られたとか。お祭り騒ぎだったようですね。

 やっていきましょう。ワッショイ!

 同社の飛行機プラモというと、バリがバリバリしているようなことを聞きますが、思っていたより大人しい。すごい絵面を期待してたんですが、いい意味で裏切られました。

 きれいな彫刻と、サラサラした表面の感触が気持ちいい。やはりプラモというやつは、開けてみないとわかりませんね。

 デカールです。朝日新聞の社章に三菱のスリーダイヤ、民間機のコード(?)があり、戦場の飛行機とはかなり様子が違って新鮮です。「九四時間 東京-ロンドン」、「94Hrs TOKYO-LONDON」というのは、たぶん、訪英後のマーキングでしょう。件のチャレンジは見事成功したんですね。

 あと、やたらとパーツが余ります。これは「神風号」が「あさかぜ号」との選択式であることと、(恐らく)バリエーションのキット向けでしょう。このシリーズでは「神風号/あさかぜ号」の他に、量産機である九七司偵の一型、改良版の二型、また海軍仕様の九八式陸上偵察機をそれぞれキット化しています。

 「九七司偵ファミリー」を一纏めにラインナップしているのは、色違い商法とかなんとか、いろんなことが幾らでも言えるんでしょうけど、プラモ売り場の棚が豊かだと嬉しくないですか。おれは嬉しい。しかもそのなかに、今の気持ちに寄り添うキットがあることを、幸せだなあと思うのでした。

▲指定色も用意しました。シルバーとインディブルー、絶対かっこいいやつ! やるぞー!
173/バブリシャス
173/バブリシャス

nippperを見てスケールモデルを始めた会社員。80年代生まれ。たまに書きものをする。かわいいアイコンは貰いものです。