無塗装で戦車模型を作るのは、結構楽しい。というか、戦車模型にはいろいろなジャンルの「組み立てる楽しさ」が全てが詰まっていると思うので好きだ。
たとえば飛行機模型のように大まかなアウトラインが一気に出来上がる瞬間は、砲塔を組み立てているときに訪れる。艦船模型のように地道な作業で全体の精密さを上げていく過程は、車体に取り付けられるフックや荷物がそれにあたる。カーモデルのシャーシにタイヤが4つくっついて車になった瞬間は、転輪を作って履帯を巻いた車体を見たときの「わっ」と気分が上がるときと似ている。
そういった模型の楽しみが詰まりに詰まった戦車で組み立て工程を失敗すると「あちゃー」なんて思う。
ただ、そんな失敗は心のどこかで「わかっていること」なんだと思う。例えば「接着する場所を間違えて、それを外したポイントに接着剤の跡が残ってしまう」みたいなことは、はっきりと失敗の痕跡として残ってしまう。でも、実体化した失敗と同じかそれ以上に「見えない成功」がたくさんあって、実は差し引きで言えばマイナスどころかプラスなんてこともあるんじゃないか。
この連休中は外をうろついていて、軒先にたくさんの土を広げてガーデニングの準備をする人や、玄関周りに水槽や大きなコンテナをおいて、メダカを飼育している家があったりした。
おそらくだけど「全部の草花が満開」とか、「プチトマトがどの枝からとっても間違いなく美味しい!」ということはなくて、「水槽のメダカもどのメダカも元気だし、卵からもばっちり育っています!」なんてこともないはずだ。でも、土を広げていたおばさんも、玄関先でメダカを飼育する家の主人もそんなことは織り込み済みで、それでひとつのシーズンを過ごしては終えるという楽しみ方をしているのだと思う。
というわけで、連休の2日間を使って、タミヤの1/48 イギリス駆逐戦車 M10 IIC アキリーズを作っていました。
フックの取り付けを間違えた場所は接着剤の跡が残ってるんだけど、まぁそういう失敗も織り込み済みということで。出来上がった姿を見て「よく砲塔のメカニカルな部分を綺麗に作れたな」だとか、オリーブ色のプラスチックの色が赤い菜箸との対比で綺麗に見えるなとかそういうことを考えて楽しかった。
そういえば、水槽のメダカは青かったり赤かったりしてメダカにも種類があるんだなと思った。アキリーズを作ると、オープントップと呼ばれる車種を知ることができる。アメリカの戦車をイギリスで改良したという品種改良の面白さみたいなのもわかるのも楽しいプラモデルだ。
1987年生まれ。デザインやったり広報やったり、店長やったりして、今は普通のサラリーマン。革靴や時計など、細かく手の込んだモノが好き。部屋に模型がなんとなく飾ってある生活を日々楽しんでいます。
Re:11colorsというブログもやっています。