突然ですが、BMWはイギリスのクルマです。だからこのように全体にユニオンジャックを大書する必要があったんですね……って、そんなわけがあるか! ラリー、F1、耐久、ツーリングカーと様々なジャンルのレースのプラモデル・ミッシングリンクを埋め続けるnunuというメーカーが、また新しいレースカーのプラモデルを発売しました。で、ドイツの超有名メーカーであるBMWのクルマにこの英国旗がデカデカとマーキングされた……えっと、どのようなご関係? というキットが爆誕しているわけです。
>ホビコレ プラッツ/Nunu 1/24 レーシングシリーズ BMW 320i E46 2004 ETCC ドニントン ウィナー
BMWといえばこのフロントマスクですね。手の届きそうな市販車からガチガチのレースマシンまで、この鼻の穴のような「キドニーグリル」(キドニーは英語で「腎臓」という意味ね)がBMWのマシンだよ!ということを主張しています。そして、このプラモにおいては市販車そのもののカタチでパーツになっておるのです。つまり、「市販車を改造したレースカーなんだよ」ということですね。
「ドイツ車でレース」というと、クルマをバチボコにぶつけ合いながら走るドイツツーリングカー選手権(DTM)が頭に浮かびますが、こちらのクルマがエントリーしたのはETCCというレースになります。現在でも続くWTCC(世界ツーリングカー選手権)の前身にあたります。このカテゴリーにおいて、かつてこのBMW 320iはベストセラーで、2000年代初頭は多くのチームがサポートを受けていました。2004年はBMWチームドイツ、BMWチームイタリア-スペインチーム、BMWチームイギリスをはじめ、同じレースに平均して8台ぐらいの320iが走ることになりました。
そうすると当たり前なのですが、ほぼイコールコンディションとなったBMWが蛇のように列をなして走ることになります。で、誰が誰だかわからないようになりますから、本家チームドイツはさておき、チームイギリスはしっかりと全体に英国旗を描くことでその存在を主張するのでした。結果としてBMWチームドイツのドライバー、ディルグ・ミューラーとこのUKのアンディ・プリオールがトップ争いを繰り広げ、なんと最終戦が終わった時点で獲得ポイントが同点(111点)で終了。最終的には優勝回数の差でチームイギリスのアンディ・プリオールがチャンピオンとなったのです。
他チームは国旗カラーの帯(東海道線や横須賀線ぐらい)だったところに、デカデカと英国旗を描いて、そして激闘の末チャンピオンとなる。プラモデルから実物を知る極上のアイテムじゃないですか。しかもこのデカールの英国旗、いい感じですよ。これは貼りたいですよね!!よし、貼ろう!
>ホビコレ プラッツ/Nunu 1/24 レーシングシリーズ BMW 320i E46 2004 ETCC ドニントン ウィナー
各模型誌で笑顔を振りまくフォトジェニックライター。どんな模型もするする食べちゃうやんちゃなお兄さんで、工具&マテリアルにも詳しい。コメダ珈琲が大好き。