週末が楽しくなる模型を、フミテシの独断と偏見でお届けする「花金プラモ」。今週はタミヤの戦車模型「1/35ミリタリーシリーズ」の初期の傑作である「日本陸軍一式砲戦車」と「日本陸軍歩兵セット」をひとつにした「日本陸軍 一式砲戦車 人形6体付」をお届けします。
戦車模型ではいま、タミヤの完全新規プラモとして発売されたアメリカ軍のオープントップ車両「M18ヘルキャット」が大人気ですが、僕たち日本のオープントップ車両のプラモも傑作なのです!! 本当にこのプラモが1977年に登場していたなんて驚愕っす。
一式砲戦車のプラモは、先に発売された97式中戦車の車体パーツを利用し、オープントップの戦闘室や75mm砲、砲手と装填手のフィギュアなどの専用パーツをセットした内容です。車体や防楯などはシンプルですが、97式中戦車のキットから引き継がれたコダワリの脚周りや75mm砲は、とても組み応えある内容となっています。
この一式砲戦車はプラモ自体も素晴らしいのですが、このキットの魅力としてぜひとも読んで欲しいのが説明書のバックグラウンドストーリーです。「あらゆるアメリカ軍戦車を撃破し得た唯一の日本軍戦闘車輌」という、一文目からハートを鷲掴みにされるこの解説はタミヤMMプラモ史に残る傑作です。特にクライマックスのエピソードにある米軍輸送部隊の車輌(トラックなど)に榴弾を撃つべきところを、謝って徹甲弾で射撃してしまったところなんと12台を貫通し、13台目のトラックで弾丸が止まったなんて話は震えます。その他のドラマも面白いのでぜひ読んでください。
一式砲戦車の本体ともいうべき75mm砲。細かいリベットやシャープなモールド、可動ギミックと作っていて本当に楽しい気持ちにさせてくれます。完成してみると砲の無駄のないデザインのかっこよさに心惹かれます。
一式砲戦車キット専用の装填手と砲手のアニキたち。力強いむっちりとした体型で、日本人だな〜と感じることができる素敵な造形。戦車に乗せるだけで情景が完成します。
美しいリベット、75mm砲の完成度は今の目で見ても素晴らしく、組み立てもとにかく楽しいです。戦後の研究結果により実力も証明されている日本のオープントップ車両を楽しみながら、週末は美味しい日本酒なんてのも良いですね。それでは〜。
1983年生まれ。模型雑誌編集や営業を経て、様々な世界とリンクする模型の楽しみ方にのめり込む。プラモと日常を結びつけるアプローチで模型のある生活を提案する。ブログ/フミテシログ(http://sidelovenext.jp/)