「奥から手前の法則」でプラモデルのデカールの波を乗り越えたい

 ゼッケンをつけた大人数の若者達が関係者通用口に並んでいる。彼らは棚卸しのバイトである。
 ものを扱う会社だと半期に一度くらい、棚卸しという作業がある。商品を数えて在庫表の数量との差異がないかを確認する作業だ。扱う商品にもよるけど、大量生産品だとそもそもの数があって数えるのが大変。品種も多いとなるともう地獄。数えに数えて数えまくるのだけど、数え間違えたりして数が合わないなんてこともある。専門学校時代は写真の先生が「本屋の棚卸しは昔は、うちの生徒を大量に連れて行って本棚の写真をひたすらとって行ったものだ」なんて話していた。私が働いていたお店は本屋ではなかったのでゼッケンをつけたバイトの人たちが閉店後に、整然と並べた商品をカウントしてくれていた。


 この作業、店側が事前にある程度数を数えておいて誤差を少しでも無くそうとすると結構思わぬとろこに商品があったりするのだけど、当日の運用としては「ロケーション」と呼ばれる区分けされた箇所があり、閉店後にお店中がお花見会場のようにシートが敷かれ、そこに商品を並べておく。棚卸し業者との打ち合わせが意外と大事で「ここは数えなくていい」とか「ここは商品管理の引き出しを引っ張り出しておいておく」みたいな話を結構する。あとは並んだ商品は「奥から手前、右から左」の順番でカウントするという約束事があった。なのでロケーション1の一番左奥が最初に読まれるということになる。それと、価格順に並べるという結構面倒なルールも。

 デカール貼りも何度かやってみると、奥から手前に貼っていくと良さそうなことがよくわかる。飛行機のプラモデルなんかは翼にペターッと貼られる国籍マークがかっこよかったりするので、最初の頃はついついそこから貼っていたが、翼はデカール貼りの作業中に結構掴む部分なので、思わぬトラブルの元になる。小さくて奥まったものを最後に貼るのも集中力が続かない。「奥から手前に貼っていく」と自分でルールを決めるようになってからは棚卸しのように整然と行っていくようになり失敗も減ったし、最後に派手な国籍マークを貼るのが、ケーキにイチゴを乗せるようにワクワクすることに気づいた。

 プラモデルのデカールは、ほとんどの場合貼る順番と番号がリンクしていない。だからこそ自分でルールを決めて乗り越えていくと、完成したときに「自分で考えた通りにうまく行った!」と達成感にプラスアルファの追加点が加わる。

クリスチ
クリスチ

1987年生まれ。デザインやったり広報やったり、店長やったりして、今は普通のサラリーマン。革靴や時計など、細かく手の込んだモノが好き。部屋に模型がなんとなく飾ってある生活を日々楽しんでいます。
Re:11colorsというブログもやっています。