

11月にシャツのオーダーをしてきたのだけど、どのようなオーダーをしたのかすっかり忘れてしまった。シャツのオーダーの手順は生地を選んで襟、袖口、後ろ身頃の形状を決め、ポケットの有無と形状、そしてボタンの種類、袖口などに自身の名前などの刺しゅうを施すかどうかを決めて終わり。大まかにいえば生地を選んで、デザインを決めるというもの。初めての場合や体型の変化が著しい場合は生地を選んだ後に採寸が入る。
デザインはいつも忘れるが、今回は生地も忘れた。4着作ってどれも忘れるのだから相当だ。ただ、いつもは特に褒めたりはしない店員の方が「いい柄を選びましたね」と話していたのだけは覚えている。

出来上がったシャツは、箱に入った状態で渡される。箱を開けると、襟にはぐるっと型崩れ防止の紙が入り、第一ボタンにもプラバンのようなパーツがついている。他にもたたまれた状態をキープするためにクリップで止められていたり、生地が重なる部分にはトレーシングペーパーのような薄い紙が入っている。箱はジャンプとかマガジンとかの漫画雑誌の大きさくらいの箱なのだけど、これくらいの箱に入った何かを買うことが他にあるのかというとプラモデルくらいなものだろう。
箱を開けて、今書いたようなシャツを保護するための細かなものを全部外してハンガーにかけるまでの時間は一連の儀式みたいなもので、商品が自分の服になるための時間だと思う。ランナーに守られたパーツにニッパーで刃を入れるようなものだ。そのあとは袖や身頃についた畳みジワが新品っぽくて苦手なので霧吹きを使って大まかに慣らす。ゲート跡やパーティングラインを消すように。そのあと「着よう」と思った日に着る。服には「服としての良さ」を考える人もいるが、中には「人が着ることで服として完成する」という思考の人もいる。
袖を通したシャツは自分の身体と合わさり、裾はパンツに仕舞われ、首元にはネクタイが締まる。その上にジャケットを羽織ればサラリーマンの出来上がり。パーツ同士を接着し、飛行機か何かが完成するように。

きちっと畳まれ箱に収まったシャツを見ていたら小池繁夫氏がボックスアートを手がけているハセガワの飛行機が欲しくなったので、ピシッと水平垂直が取れている姿が美しいF104のプラモデルを帰りに買って帰宅した。次の週末は、これを作ろうと思う。