1977年生まれのニチモの怪鳥! 「1/48 隼」プラモで感じた中古プラモと古着の同一性。

▲1977年に誕生したニチモの伝説キット。高荷義之氏による迫力ある箱絵も衝撃。こんなキットに出会えるのがプラモ中古ショップの魅力

古着屋さんが大好きだ。ダック生地のごっついジャケットがすでにパッカリングやダメージが出ているものを手に入れることができたり、ミリタリーウェアの傑作に出会えたり、どっかの企業がオーダーした謎ロゴ入りコーチジャケットに出会えたり、クタクタになったラルフローレンのシャツと会話できたりと、古着屋さんだからこそ手にとれるものがある。プラモ屋にも中古ショップがあり、その中には古いだけのレジェンドだけじゃなく、今の時代に時放っても素晴らしい輝きを放つ本当のレジェンドプラモが棚で待っていてくれる。今回俺が出会えた「ニチモ 1/48 日本陸軍 中島 キ43-1 一式戦闘機 隼」がまさにそれだった。2021年、一番夢中になった飛行機が「隼」だったからこそ出会えたのかもしれない。

▲Nichimoの文字が輝く赤タグで封がされたパーツ袋。今はこういうのあまりないですよね

1977年生まれのニチモ 1/48 隼。店頭で手に取ったきっかけ高荷義之氏によるあまりにもカッコよずぎる隼のイラストだった。戦う隼の勇ましさ。こんなかっこいい箱の中にはどんなプラモが入っているんだろう……。絶対カッコイイに違いない。そんな俺の期待をニチモの隼は裏切らなかった。そして、俺はまだまだプラモのをこと知らないんだと痛感させられた。こんなに素晴らしい飛行機模型に出会えたことに感謝。また一つ自分のプラモメモリーに名作がインプットされた。

▲衝撃の胴体
▲衝撃の翼

このキットを手に取った人はきっと口を揃えて「1977年に刻まれたリベット」のことを言うだろう。プラモにおけるオーバーなディテールは時に人の心を奪っていく。

▲当時のキットの接着剤が残されていた。色々な思いが巡るね
▲全体のパーツ数は、今の1/48スケールの飛行機とたいして変わらない。でも当時の人はどう思ったんだろうか?
▲そしてかわいいアニキたち。彼らこそ1977年の証人。俺には輝いて見える

いつものように組み立てに入る。パーツのディテールが良くても、組めない模型は世の中にたくさん存在するので、組み立てるまで油断はできない。安心感はまだなかった。パーツにエキサイティングしてた自分の心を一先ず落ち着かせる。そして組み立て説明書を見ると……。

▲パーツの番号だけじゃない! それぞれのパーツの名称が記載されている……隼を作っている人が何を組み立てているのかを体感できる

説明書とは模型が組み上がっていく順番を示すだけじゃないとパーツ番号の脇にある名称が教えてくれる。そう、この時点で感じたのはニチモの隼は仕事が丁寧なのだ。カッコイイ箱絵、美しいパーツ、組み立てる人へのメッセージが自然に収まっている。素晴らしいプラモだ。

▲収まるべきところに加工なしで収まるパーツたち

エンジン〜コクピットまでの繋がりをプラモを組むことで知ることができる。ここは細かいパーツのオンパレードなのだが、パーツ精度がしっかりしており、全くと言って良いほど問題がなかった。隼の心臓が机上に降臨する。

▲心臓は胴体へ。エンジンとコクピットが組み上がると、本キットは完成へと一気に加速する。またカウルを接着しなければ、エンジンもディテールも楽しむことができる
▲あれだけ複雑なエンジン&コクピットパーツを挟み込んでもズレがない胴体の貼り合わせ。この精度と今の高性能な流し込み接着剤があれば全く問題なし
▲士の字という飛行機模型におけるハイライトの一つの状態。シルエットも美しい

心臓部のパーツの細かさと、本体のシンプルなパーツ構成というメリハリが最高だ。主翼のフラップには羽布張りと思える表現が彫刻でなされており、本体内での異素材の共存もプラモで体感できる。

▲あまりの美しさに、塗装も楽しみたくなってきた。クリアーパーツの接着はまた後にしよう

名作は2時間ほどで俺の目の前に翼を広げた。あまりに美しいリベットが刻まれた胴体が光を反射した様子に興奮を覚える。傑作と出会えた喜びと、組み立てることができた喜び。このような出会いが楽しめるような場所として存在するのが中古ショップであり、その楽しみ方を僕たちがしていけば傑作のプラモも泣くことはない。俺が好きな古着屋さんでも珍しくて高いものや流行によって高騰しているものはあるけれど、決してそれだけじゃなく時代を通して傑作として楽しめるものが普通に置いてある。プラモも同じ。そんな傑作を手に取り組んでみると、また自分の中のプラモ感がいっそう豊かになると思う。

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フミテシ

1983年生まれ。月刊ホビージャパンで12年間雑誌編集&広告営業として勤務。ホビージャパンで様々な世界とリンクする模型の楽しみ方にのめり込む。「ホビージャパンnext」、「ホビージャパンエクストラ」、「ミリタリーモデリングマニュアル」、「製作の教科書シリーズ」などを企画・編集。