
『故老諸談』という徳川家康のちょっといい話集にこんなエピソードがある。家康が「この世で一番うまいものは何か?」と家臣に問うと、さまざまな美味なるモノが挙がるが、なかなか皆の一致するこれぞというものが出てこない。そこで英勝院という側室に話を振ると「塩です。どんなうまいものを作るにもこれが無いと成り立ちますまい。」と応え、皆がなるほどと膝を打ったという。
さて、知識をひけらかしたところで、模型で塩といえば「塩マスキング」。
今回はコレに挑戦してみようと思う。

「塩マスキング」とは、字面そのまんまの通り塩を使ってマスキングする技で。潮風などにより機体の塗装が劣化した状態を表現するときに主に使うらしい。用意するのは「塩」と、それを機体に定着させるための素材……今回はヘアスプレー「ケープ」を使用。
素材となるのは前にレビューしたUAVハインド。ハインドって……海周辺飛んでたっけ?ということを後に気づいたが、気づかなかったしワイのハインドは海を飛ぶし、なんなら海中を航行できることにする。SF機体なので。

ケープを吹いた後、塩を振りかけると画像の様に塩がくっつく。さすがに手で触るとポロポロと落ちるが、スプレーやエアブラシの風圧程度では落ちないくらいの強度。

アクリル塗料をエアブラシで吹いて塩を落とすと…おお…なんか鼻の毛穴みたい。なんか思ってたのと違う……動画などで諸先輩方の技を確認すると塩を撒くときに全面に均等に撒くのではなく、粗密感をつけることが重要っぽい。ふうむ。1/72スケールなので塩の粒も少し細かいものを混ぜた方が良かったかもしれぬ。未来のオラに期待。

と、当初の思惑とは微妙に違った感じになったものの、ウェザリングはやればやるほど味がでるしまだリカバリーは可能…なはず。ヘアスプレー「ケープ」を使っているので、水を含ませた筆でなぞれば下地になったケープが溶け出し塗料を剥がせる。穴をつなげたり、溶け出した塗料で小さい穴を埋めたりと微調整すれば…それっぽくなってきた。

更にクリア+白を混ぜたラッカー塗料を薄めに吹いて機体色の統一を図り、影になりそうな所をちょっとだけ色を載せれば使い込まれた装甲感になってきた…なってきたぞ。いける……!リカバってきた。
この段階でスミ入れするとモールドが埋まってしまっていて、うまく流れない箇所もあるが、そこはシャーペンでちょちょっと描き足してごまかす。さらに機体各所に赤、青、黄色のエナメル塗料を点々と付けて溶剤で薄く塗り拡げ(ドッティングという技法)装甲の色味に変化をもたせる。これは完全にノッてきたな。

装甲の分割線に沿ってMrウェザリングカラー マルチホワイトで線を描き、綿棒で装甲内側に向かって伸ばすとエッジが強調されてなんかいい感じにフィニッシュ!

ところで冒頭の小話には続きがあって、「ではこの世で一番不味いものは何か?」という問いに「塩です。どんなうまいものも、これを入れすぎれば食べられますまい。」と返したとか。
で、まぁ今回初めてやった塩マスキングはまぁちょい……だいぶ失敗しているのだが、ウェザリングは一種でどうこうするもんでなく複合技なので、「塩を入れすぎたら砂糖を入れたらいいじゃない!」(暴挙)の精神でいろんな技を使えば大抵どうにかなりますな。ガハハ。