ハセガワの人形プラモ宅配便/50’s アメリカン ガールズ

 大好きなデザイナーに寄藤文平という方がいます。

 有名なのは大人タバコ養成講座、R25。少し前なら東京メトロのポスター「家でやろう」なんていうのも。いずれにしても、平熱と言いたくなるようなプレーンなイラストとユーモラスな雰囲気が持ち味で、だからこそ色々なところで使われている名デザイナーです。

 その、プレーンな様子を思いっきりダークな方に生かした仕事が「黒鷺死体宅配便」という漫画の表紙(さらにやばいのもありますが、ここでは触れません……)。無味乾燥なイラストでパーツのように扱われ配置される人体と、話にまつわる要素が記号的に並ぶ表紙はどの巻を見てもゾクゾクします。そんなイラストたちをハセガワの50’Sアメリカンガールズの説明書を見ていて思い出しました。なんという魔性の魅力を放つ、ランナー図なんだろうか。

 立体的なパーツを均一な線で描画することで生まれる物質感の恐ろしさたるや。裏を返せばそれほどにこのキットの成型色やパーツの造形は美しく、生命力にあふれているというわけです。

 プラモデルは実物を模した立体がバラバラにされていて、それを復元するという遊びでもありますが、フィギュアの場合は少し事情が変わってきます。指定色通りに塗ってもついつい好みになってしまう顔、好きに塗れば好みの服に素敵な髪色、どちらにしても復元しているつもりが好みが反映されたルックスになってしまいます。「どう仕上げるか」というよりは「どう仕上がるか」はあなた次第、なジャンルかなと思います。

 今回私は美しい成型色の薄ピンクを生かして、肌の部分は無塗装で全体を塗っていきましたが、それにしたってどうにも好みの色合いや顔つきになるのはなんででしょう。

 原型師の辻村聡志氏が手がけたキュートな女性たちはあくまでも依り代にしかあらず。組み立て、塗る人間の脳内の女性が目の前に復元される。兵士なら省略する眉毛や眼、唇の色などに滲み出る好み。

 記号化された女性に吹き込んだ生命は、彼女本来の生命ではなく私たちの都合が入った生命。だからこそ個性のある出来上がりは身内びいき100%でどう見ても(自分の中では)可愛くなります。

クリスチ
クリスチ

1987年生まれ。デザインやったり広報やったり、店長やったりして、今は普通のサラリーマン。革靴や時計など、細かく手の込んだモノが好き。部屋に模型がなんとなく飾ってある生活を日々楽しんでいます。
Re:11colorsというブログもやっています。