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ハセガワの最新プラモデルで再認識する「過激なカタチ」/ホンダ シビックSiR(EF9)

 ハセガワの新しいカーモデル、シビックSiR(EF9)のボディパーツを取り上げてまず真っ先に目につくのは“窓の大きさ”。自分が4代目シビックを運転したときは「ノーズがやたらめったら薄いな」というのが第一印象で、「キャビンがもっこりと高く立ち上がっていて、ガラスエリアがひたすら広い」というのは模型になって俯瞰したからこそ与える印象なのかもしれません。パッケージもハセガワのカーモデルとしては珍しく右向きで前がち&やや俯瞰のイラストになっていて、EF9の独特なスタイリングを強調する構図になっているのが印象的です。

ハセガワ(Hasegawa)
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 キビキビ走るけど、シンプルで開放感も備えた表情……というのは、’90年代前半までの国産ホットハッチが持っていた共通言語。模型として眺めると改めてそのキャラクターが強く感じられ、決して大きな車ではないのに、視覚的なボリュームをもたらしてくれます。

 1990年に登場したEF9は、ホンダのVTECを語るうえでとても重要なクルマです。VTECの市販初搭載は前年のインテグラに譲りましたが、EF9はより軽く、実用的で、リッター100馬力/8000rpmまで回る刺激的なエンジンを積んでいました。

 アラウンド’90sといえば、アイルトン・セナが1万3000回転を超えるエンジンのサウンドを響かせ、ホンダがF1で圧倒的な強さを見せていた時代。そこから刷り込まれる「回転数こそ正義!」という感覚と、VTECの切り替わりで音やパワーが変化する体験は、エンジンを感じることに価値を置くユーザーにとって非常に魅力的であり、ホンダらしさを象徴するものでした。フロアに彫刻されたプレスラインからは実車のスパルタンさ(ペラペラ感!?)とハセガワ製カーモデル特有の実直さが伝わってきます。

 シビックだけを眺めていてもわからないのが、同時代のクルマたちと並べたときに見えてくる造形上の違い。ハセガワはここ数年でニッサン パルサー(RNN14)GTI-R、トヨタ スターレット EP71 ターボS、いすゞ ジェミニ(JT190)イルムシャー、トヨタ MR2 (AW11) 後期型など、’90年前後に登場した“手の届くスポーツカー”としてしのぎを削った車たちを精力的に模型化しています。
 どれもエンジンを再現していないプラモデルではあるのですが、それぞれ車高の設定やキャビンの容積、あるいはエアロの過剰さなど、どこかに明確な“強調”を感じられるマシンばかり。ハセガワはシャシ裏の彫刻や細密なパーツ構成でそれぞれの「強さ」を表現し、さらに最近作では車高を選択できるギミックを盛り込むことで「走り」に憧れた当時の若者の感覚を疑似体験できる内容としていることにも注目。

 もちろん、往時を知るユーザーにとって大事な「室内の手触り」として、シートのファブリックパターンがデカールで用意されているのもトレンドをしっかりと押さえています(このへんはハセガワのネオクラ車モデルはもちろん、タミヤが最近連発している再販品でもいちばんアツいポイント!)。
 プラモデルは単に形を再現するだけでなく、その車が設計された背景や思想を組み立てながら体験する道具でもあります。ハセガワのニューアイテムは、かつて競うように作られた若者向けの過激な車を立体として再構成し、パッケージングを現代の目で再確認できる貴重な機会を与えてくれます。このキットをひとたび手にすれば、「このクルマ、どこがすごいの?」「なんでシビックなの?」と感じる世代のあなたにも、独特なスタイリングとそのなかに秘められたホンダの意地が伝わるはずです。そんじゃ、また。

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著:model cars編集部
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からぱたのプロフィール

からぱた/nippper.com 編集長

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』https://wivern.exblog.jp の中の人。

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