

先日、模型展示会で使う布を買うため、プラモ仲間と一緒に日暮里へ。日暮里から帰る途中に、先輩が「この辺にいい模型店があるから行ってみようよ」とナイスな提案をしてくれたので、僕は初めて鐘ヶ淵という街に降り立ちました。東京の下町らしい雰囲気が心地よく、このままどこかで一杯飲んで帰りたくなるような空気。でも、この日の目的は模型店です。
教えてもらったのは「ホビーショップ スリーエス」。ショーウィンドウには素敵な完成模型が並び、店内もジャンルごとに整理された陳列が実に気持ちいい。そして、初めて訪れた街の、初めて訪れた模型店で、僕はひとつのプラモデルに一目惚れしたのです。

それが、この「ハセガワ 1/48 イギリス空軍 ハリケーン Mk.IIC ナイトハリケーン」です。商品名のとおり、黒く塗られた夜間戦闘機仕様を楽しめるキットです。きっかけは、完全にジャケ買い。ハセガワの飛行機模型パッケージイラストを数多く手がけた故・和田隆良氏が描くハリケーンが、あまりにも美しかったのです。
夜間戦闘機は「ツヤ消し黒」が指定されることが多いのですが、模型は黒いものをそのまま黒で塗ると、どうしても立体感が失われてしまいます。しかも、指定はツヤ消し。ツヤまで消えると色気まで失われてしまい、これがなかなか悩ましい。
ところが、和田氏のイラストは「黒を黒」で塗っていないのです。それなのに、しっかり夜間戦闘機の黒に見える。この表現に挑戦してみたい!! そう思って、本キットをレジへ持っていったのでした。

箱を開けると中のキットも素晴らしいのです。本キットは1997年に初版が発売されたハリケーンMk.IIcのバリエーション。シャープなモールドに、光を美しく反射する綺麗な表面が僕をワクワクさせてくれます。

「鋼管フレームに布(羽布)を張った構造」が特徴の胴体も、メリハリある仕上がり。このモールドを際立たせるように筆を走らせたい。そんな欲望を掻き立ててくれます。

そしてコクピットの計器盤のモールドも良好。今見ても満足できる細部表現は流石の一言。こういった細かい箇所から得られた小さな満足感によって自然と手が動く……ランナー(パーツが繋がった枠)からパーツを解き放つきっかけになったりするものです。

デカールもまだまだ活きが良い! これで不安材料はなくなりました。
さて、「黒」をどう塗るか……。和田氏のイラストをじっくり眺めながら妄想に花を咲かせましょう。完成を思い描き、塗り方をあれこれ考える。この時間も、プラモデル作りの楽しいひとときです。初めての出会いを素敵な形にしたいと思います。