「部屋中でプラモを作る」という経験/AIRFIX 1/24ハリケーン

 エンジンを作る前から薄々気づいていたのだけど、巨大なプラモデルを作るという行為は生活にダイレクトに干渉してくる。作業中はテーブルの上にプラモが入った箱を置いてるけど、目的のパーツが見つからなくて鬱陶しいと思うとランナーを床に放り出したりして探す。こうするとこれから組むパーツたちの全貌を見やすいが、部屋が一気に狭くなる。

 そんな感じにあちこちを移動する巨大なパーツは気づいたらいなくなったり、いないと思ったら元の場所にいたりする。大きいプラモデルだからパーツも大きいのに、パーツを失くしそうになるから不思議だ。失くすというか、大きいのにどこかへ行ってしまうのだ。

 作っていれば膝の上に抱えて貼り合わせたり、合わないところは寝癖を直すように執拗にチャレンジするけど、プラモデルの歪みの逃がし方みたいなのを心得ているのでとりあえず保留。スツールの上で日を浴びるように置かれている半完成品のハリケーンは「とりあえず今はここに置いておけば安全!」という避難場所。なぜプラモを椅子に避難させないといけないのだろうか。その後、一旦落ち着いてエンジンカバーをはめ込むと歪みが収まることを確認して瞬間接着剤で止め、形にする。

 スプレー塗装はベランダで行った。大きな段ボールにたっぷり新聞紙を入れて、そこでスプレーを吹き付ける。一発目は離型剤が容赦なく塗料を弾き飛ばした。「まじかよ……」と思って製作を断念しようと思ったけど、「どうせ捨てるくらいなら」と、いろいろ試すことにした。

 タミヤのラッカースプレーを落とすベストな組み合わせはメラミンスポンジにタミヤのラッカーシンナーを染み込ませるというもの。風呂場で丁寧に全体をこすってじわじわと塗膜を落としていく。八割くらい取れたら今度はマジックリンを使う。こうして全体を洗ったあとのスプレーの定着の美しさといったら「復活」としか言いようがない素晴らしさだ。ハリケーンが喜んでいるように見えるのはなぜだろう。作業しているテーブルに置くにも置けないのでキッチンのガスレンジに安置。換気扇をオンにすればかなりいい感じに乾き始めた。

 こうして一日ハリケーンと遊び終わると、ランナーはキットの箱にしまって机の下に置いている。テーブルを広くしつつ、部屋で邪魔にならない場所はここしかない。寝ぼけて踏み潰すこともない。「部屋中で巨大な塊を動かす遊びだったけ?プラモデルって……」と思いながら、この日は箱と同じ床でごろりとしながら自然と眠るのを待つことにした。キッチンではハリケーンが明日の完成を待っている。

クリスチ
クリスチ

1987年生まれ。デザインやったり広報やったり、店長やったりして、今は普通のサラリーマン。革靴や時計など、細かく手の込んだモノが好き。部屋に模型がなんとなく飾ってある生活を日々楽しんでいます。
Re:11colorsというブログもやっています。