アフターディナーのプラモデル/『マンダロリアン』の宇宙船をツマミに晩酌しよう。

 『大豆田とわ子と三人の元夫』では大豆田唄(主人公の娘)に感情移入しすぎて最終話の中盤で脱水症状を起こしたオレ。大豆田とわ子と同じように指折り放送日を待ち、正座しながら観ていたのが『マンダロリアン』である。信じられないくらい面白い上に、技術的にも桁外れのことをやってのけた『スター・ウォーズ』シリーズのスピンオフなので観ましょう。しかもちゃんと主人公に全力で寄り添えるしその先に救いがバシーっと用意されているのがすごい。えらい。観ましたね?

 さて、発売日を指折り数えて待ったレイザー・クレストです。主人公が子連れ狼をしながら旅するめちゃくちゃカッコいい宇宙船。イクラを運んだりします。バンダイSWアイテムの中でもビークルモデルというラインに位置しており、小さくてパーツ数が少なくて速攻でカタチになるけどディテールはミチミチに細かく、あっという間に超精巧なスター・ウォーズのメカが手に入るから本当に嬉しい。

 キャラクタープラモのエンジンノズルにありがちな「(アニメのメカにしては)リアル風だな〜」というお約束デザイン(の、コピーのコピー……)ではなく、「やっぱスター・ウォーズのメカデザインってそもそもスケールモデルのパーツの寄せ集めからスタートしてますよね」という強い説得力。宇宙船がジェットエンジンで飛ぶかどうかは置いといて、実在する戦闘機のジェットエンジンから造形的なコードを借用して、それをバンダイスピリッツが実直にプラスチックにするという流れがここに見えます。

 パネルラインや凹凸、シンプルなシルエットだけどよく見ると微妙な曲面の突き合わせでセクシーさを備えたレイザークレストの魅力が余すことなく小さなパーツに刻み込まれています。今回買ったのは「シルバーコーティングVer.」で、あらかじめしっとりとした銀色の塗装が施されています。

 シルバーの色味とかメタリック粒子の細かさとかツヤ感とか、「自分で塗料を選んで塗りましょう」と言われてもかなり悩むと思うし、劇中のレイザークレストも鈍く光る雰囲気だったので「これが正解だよ!」って言われるのもいいもんですね。

 ビークルモデル特有の「ハコのフタの裏側に組み立て説明書が印刷してある」という仕様もいつもどおり。そんなに細密な模型じゃないのでこの小さな図でも組み立てられますが、バンダイスピリッツのサイトには拡大できるpdfもちゃんと用意されていますので、リラックスしながら組みたい人はPCやタブレットでこれを表示するのが吉。

 おしゃべりしながら組み立て動画を配信して、20分もせずに組み立ては完了。ディナーのあと、ビール片手に楽しめるプラモとしてたいへん優れたパッケージングになっています。プラモにフォーカスして時間を作る日もあれば、こんなふうに「暮らしのスキマ時間」にふと組み込めるプラモというのも、やっぱりすごく大事だと思い直した次第。ビークルモデルやメカコレシリーズのコンパクトさは「初心者のためのプラモ体験」というよりも、忙しすぎる現代の我々に、ささやかなプラモタイムをもたらしてくれるギフトなのかもしれません。

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からぱた

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』http://wivern.exblog.jp の中の人。