エンジンと書いて魂と読む/魂入れ替えなお飛び続けるゲルマン魂の話。

▲メッサーファミリーとしてはシルバーの上面色が珍しい。

 第二次大戦の空戦を描いた映画として有名な作品の一つに『空軍大戦略』ってのがあります。我らがイギリス空軍がバトルオブブリテンを戦い抜く内容なんですが、戦後20年以上経っており、登場する戦闘機を揃えるのはひと苦労。勝利国でもあるイギリス軍の機体は実物が使えるものの、相手のドイツ空軍の機体はオリジナルのものを揃えるのは難しいわけです。しかし、まだ現役で飛べる「元」ドイツ空軍機があったんですよね。しかもまとまった数。

 それが今回紹介するAZモデルの「スペイン空軍HA-1112-M1L」。愛称は「ブチョン(=鳩の一種)」と呼ばれ、スペインでライセンス生産された機体。オリジナルのドイツ製エンジンからライバル国であったイギリス製のロールスロイス製マーリンエンジンを搭載し、機種の形状ですぐに分かるのがポイントです。

 前述の『空軍大戦略』だけではなく、それ以降の映画で登場する「ドイツ空軍のメッサーシュミット戦闘機」はほぼこのブチョンだと言っても過言ではないのですよねー。近年の傑作戦争映画『ダンケルク』に登場するのもこのブチョンです。

▲キットの塗装パターンは下面のみエイザーブルーに塗装されている機体をチョイス。
▲ザ★1/72といった感じのパーツ数です。すぐ出来そうな気配。

 AZモデルといえば以前も触れたように塗装バリエーション大好きなメーカーであり、ひとつの機体の金型を作ったらそこにすでにバリエーションパーツが彫り込まれており、デカール替えで延々と塗装バリエーションのキットを展開しております。しかしブチョンは元がメッサーシュミットBf109とはいえエンジンがゴッソリ載せ替えられていたり翼端も形状が違うため、完全新規パーツなのですよ!なんとなくバリエーションパーツが入ってて切り貼りして組み合わせて作ってね?って感じかと思ってたのですごくうれしい。

▲ちょっとヌルいところもあるけどしっかりとディテールが入ってますな。
▲こっから見るとフツーのBf109。

 キットのパーツ構成とかは本当にごく普通の1/72のヒコーキモケイ。ただダボ穴がついてなかったりするのでパーツの擦り合わせや仮組みは慎重に!組みあがってしまえばアングルによっては本当に「あ、メッサーシュミットだなあ」ってなるんですけどね。

▲このアングルだ!

 そう、機首だけ見てるとこの不思議な「なんちゃってメッサーシュミット感」がヒシヒシと伝わってきてオモロイんですよ!いや、こいつはそもそも「ブチョン」なのであって、「なんちゃってメッサー」という呼び方が失礼って話なんですけど、いろんな映画で登場する姿に慣れ過ぎてしまって「そうそう、このシルエットが悪役としてのメッサーシュミットだよ!」ってなるんですよなー。認知の歪み〜!

▲ちなみに説明書には「ここをこうすると映画に登場したカタチになるんやで」っていう説明が書いてあったりしてそれもまた面白い。

 AZモデル版としてのキットでは映画版メッサーシュミット仕様でのバリエーション展開は出てませんが、そのうち出るんだろうなーと思いつつ先にスペイン空軍版で作っておいて、登場する映画を観ながら「ほらほらコレが原型なんやで!」って飲みながら語るのもオツですねえ。……ということでブチョンはマイナーだけど凄く有名な機体なのでした。みんなも作ろうね!

内藤あんも
内藤あんも

1977年生まれ。戦車道とスピットファイア道を行き来する模型戦士。生まれ育ちは美濃の国、今はナニワ帝国の片隅でプラモデルを作る日々でございます。