内藤あんもの「棚からひとつかみ」/チェコからやってきたスペインを飛ぶドイツ機のプラモデル

▲この世でいちばんたくさん作られた戦闘機なのでおなじみ度数が高いBf109だよ!

 僕が大好きな戦闘機をひとつ挙げろと言われたら、イギリス空軍が使ってたスピットファイア一択なんですよ。現行の戦闘機っていうのは先日航空自衛隊で退役したばかりのF-4ファントムⅡのように50年とか飛んでたりするんですが、第二次世界大戦前後に設計された機体は正式配備された翌年に新型機が登場して従来機が陳腐化してしまって3年後には引退……なんてことは日常茶飯事。そんななか、初飛行が1936年、英軍から退役したのは1955年という長きに渡って使われたのがスピットファイア。勿論改修に次ぐ改修で配備直後のMk.Iと最終型のMk.22(海軍仕様のシーファイアはMk.47)はまるで別モノですが。中には60年代に入っても使ってた軍隊もあったとか。

 じゃあなんでスピットファイアの話じゃないんだよってトコですがまあ待ってください。同時期に同じように長期に渡って使われ続けた名機がございます。それがドイツ空軍の主力戦闘機、メッサーシュミットBf109です。1935年の初飛行から第三帝国終焉の1945年まで飛び続け、戦後はエンジンを載せ替えチェコではS-199として、スペインではHA-1112として飛び続けました。特にスペイン空軍では1965年まで現役だったとか…。ドイツ軍が使用していた時はA型からK型までバリエーションがあり、エンジンが違ったり細々と改修が加わっていたりと非常に奥深い機体でもあります。

▲ドイツ軍じゃないのかよっていうツッコミはナシ!こちらはスペイン内戦で使われたフランコ軍(知らない人はググろう)の機体です。
▲塗装パターンがシンプルでよいよねフランコ軍。

 そんな名機であるのならばそりゃもう様々なメーカーから大小のスケールでキット化されておりますよね!今回紹介するのはAZモデルの最新キット、メッサーシュミットBf109E-3「スペイン上空」でございます。AZは以前からBf109のキットは出してまして、G~K型辺りは店頭でも見かける感じ。今回はそれらのパーツは一切使わず完全新金型でございます。

▲箱の中はごくシンプルな1/72キットのランナー数。

 AZモデルはチェコの模型メーカーで、主に1/72の飛行機のプラモを多数発売しております。機種も豊富ですが、なんといってもデカール替えで一度に多くの新製品を世に送り出すのが特徴。今回のE型もいきなり4種類並んでますからね!多いって!そして矢継ぎ早にバリエーションキットも登場するのもAZらしさ。この後すぐにE型バリエーションが控えておりますし、戦後スペインがBf109を自力回収したHA-1112 “ブチョン”もラインナップに入ってる……。ちょっと前のキットだとモールドも味わい深いモノが多かったりしますが(意味深)、最近のキットはパリっとした印象の製品が多いかなー。僕の大好きな海外メーカーの一つでもあります。

▲ほらほら。気持ちよいディテール。
▲組みあがると大変しゅっとした印象で「初期のメッサー」らしい細身な印象がすこぶるよろしい。

 前述したようにBf109は人気機種なのでそれこそ大昔から様々なメーカーから製品化されております。E型ならタミヤのウォーバードシリーズにラインナップされてるもんだからわざわざ海外メーカーのキットを……なんて話も出てきそうですが、キット自体の出来もじゅうぶんステキですし、何よりAZの特徴でもある「デカール替えバリエーションキット」が楽しい。ドイツ軍に飽きてきたら今回のようなスペイン空軍を選択するというコトも可能ですしね!

 しかし個人的にAZモデルを推すもう一つの理由があります。それがこれ。

▲注意書き。

 一点の曇りもないカンペキな日本語の注意書きがね!箱の側面にね!印刷されてるんですよ!はいこれ読みながらお酒いただきましょう。

 何がすごいかっていうと他の注意書きは英語のみ。この限られたパッケージの空間にここまで大きく日本語が載ってるっていうのがもうなんというか感動モンなのです。他のAZのパッケージを見ていてもここまでではないにしろ日本語の注意書きは載ってたりして、チェコの人たちの心意気というか日本モデラーに対する配慮というのがすごくすき。すき。説明書が各バリエーションを盛り込んでて読みにくかったりもするけどそういうの気にならないのだよ!(気にはしている)。

 ひょっとして(ひょっとしないでも)なにかのコピペなのかもしれないけど、なんかこう、ちゃんとした日本語の注意書きを入れておこう〜って考えている人がチェコにいる!それだけで嬉しくなるというものです。ぜひ模型屋でAZモデルのパッケージ側面の日本語だけでもチェックしてみてください!

内藤あんも

1977年生まれ。戦車道とスピットファイア道を行き来する模型戦士。生まれ育ちは美濃の国、今はナニワ帝国の片隅でプラモデルを作る日々でございます。