幼少期のガッカリを、青年のいまこそマンゾクに。/ミニ四駆 プロトセイバーEVO

 「スピンコブラ」、「プロトセイバーEVO」、そして「バックブレーダー」。3台のマシンの名前が「ガッカリ」という感情が結びついている人は僕と同世代で、かつ同じ経験をした人だと思う。これら3つのマシンは言わずと知れた名作ミニ四駆漫画及びアニメ作品『爆走兄弟レッツ&ゴー!!』に登場するミニ四駆の車種だ。

 ’96年当時、世は正にミニ四駆ブーム真っ只中で、クラスの男子でミニ四駆をやっていない友達はいないくらいだった。そんな状況だったので、とにかく友人同士でマシンが被った。「オレもこいつも、そしてあいつもネオトライダガー」みたいな状況は全国で頻発していたのではないだろうか。

 発売から間もない頃、まだ誰も持っていなかったプロトセイバーEVOを買うチャンスを得た僕。プロトセイバーは「友達が持っていないオレだけのマシン」になってくれる“はず”だった。当時僕は小学1年生。「走行はしません」という文字の漢字部分は読めなかったし、意味もわからなかったはずだ。

 意気揚々と買ったにもかかわらず走らない。幼少期の僕がこのマシンに味わった失望は大きかった。

 オトナになって、再度買ったプロトセイバーEVO。そのパッケージを開けてみて感動した。

 ランナーをひとめ目見ただけで、脳裏に刻み込まれていたディテールのひとつひとつが蘇ってくる。これも知ってる、あれも知っている。そんなディーテールのオンパレードだった。

 タミヤの墨入れ塗料でスミ入れして、パッケージでメタリックな輝きを放つセンサー部分はラピーテープでキラリと光らせてみた。マイクロチップは付属のシールを使わず、黒のアクリル塗料+マジックリンで下地のメッキを生かしつつ塗装。ゲートの跡をメッキペンでリタッチして部分塗装して、シャーシに手を入れるのが終わったから最後はボディをパイルダーオンしておしまい!


 ……と思ったのだけど、ここでふと当時に思いを馳せる。当時、母は「シンナーは体に悪いから」という理由でスプレー塗料の購入を許してくれなかった。ここは当時のリベンジとしてスプレー塗料で塗装をしたい。しかし僕にとってのプロトセイバーEVOは小学一年生の頃に持っていたあの「無色透明」のボディなんだよな……。リベンジも果たしたいし、当時見慣れた姿も堪能したい。

 よし。塗り方は決まった。

 車体の右半分と左半分でそれぞれ僕の現在と過去を表すマシンになった。

 「走らないミニ四駆」として期待を裏切られたことで一時期は嫌いなマシンの代表格だったプロトセイバーEVO。ミニ四駆を組むこと自体久しぶりだったけど、今回の経験でメチャクチャ好きなマシンになった。現在は走るモデルも発売されているので、そっちもぜひ。

蒼人
蒼人

1989年生まれ。ゾイドとアメコミヒーロー映画が大好き。コロナ禍以前は毎週末映画館に行くのが楽しみでした。
ラジオっ子が高じてPodcastを始めました。