

1984年発売のグラスホッパーはタミヤR/Cカーシリーズの43作目。この頃のR/Cバギーはブーム絶頂。コロコロコミックをはじめとする小学生向けの媒体で展開する存在でありながら当時定価格で2万円前後と高額だった中、手を出しやすい廉価な入門モデル(当時価格7400円)として登場した。今でも復刻版が入手可能だ。

そんなグラスホッパーが誕生40年目にしてまさかのミニ四駆化に至ったのが今回紹介する「グラスホッパーJr.」だ。ミニ四駆化オメデトウ!とお祝いしたくなるのは筆者がミニ四駆世代だからになるんだろうか。初めて手にしたミニ四駆がこのマシンの後継である1989年発売の「グラスホッパーⅡ Jr.」だったので「旧友のお兄さんに35年目にして会う」ような気分だ。後継マシンである「Ⅱ」は35年も前にスルッとミニ四駆になっていたのに、その前身である「グラスホッパー(初代)」はミニ四駆として不在のまま長年欠番扱いだったのである(!)。

そんなこんなで40年ぶりの欠番を埋める存在となったグラスホッパーJr.。シャーシがいくつかのタイプに共通化されているミニ四駆ラインナップにあって、事実上のメインディッシュであるボディのパーツからもそのデザインに40年分の変化が感じられる。

特筆すべきはドライバーフィギュアの処理。天井からぶら下げるように取り付ける。元のR/Cカーでも天井からネジ止めする処理だったし、ミニ四駆でもホットショットJr.(MSシャーシ)で採用されていた方式なのだけれど、ホットショットのそれがヘルメット部分だけでドライバーを表現した生首仕様だったのに対し、今回は肩まで一体成型のバストアップフィギュアになったことで造形面の気分も良い。
直近のクロススピアーもドライバーフィギュアを実装したデザインだったけれど、バイザーを被せたツルンとした表現だった。独立部品になったことで表現できる、むき出しになった目鼻周りの造形もスケールモデルでおなじみのタミヤクオリティでウレシイ。

ソリッドカラーにストライプ、専用に起こされた文字にバッタのエンブレム、大きく置かれたカーナンバー。ひとつひとつの面が広めに構成されたこの頃のオフロードバギーのデザインは豊かなグラフィックで彩られるステッカーチューンを意識したもの。ゲーム開発じゃなくてもグラフィッカーってのがきっといるんだぜ? Tシャツにプリントしてもカッコイイんだぜ? という気分にさせるマークやロゴのオンパレード。実際にタミヤグッズとしてプリントされたTシャツも売ってるしね。このステッカーも最近の標準である凹凸に馴染みやすく剥がれづらいホイル素材で用意され、キワまでキレイに貼れる。

このキットに充てられたVZシャーシはバンパーを着脱できるので、外した状態ならよりR/Cに近いルックで飾ることもできる。用意されたタイヤは最近では珍しくなった大径スリックタイヤ。ミニ四駆化された80’sオフロードバギーと並べる上ではスタイリング上外せないチョイスといえる。もっとも元になったR/Cでは後輪駆動の2WD、ミニ四駆化するということは4WDに変化する。前輪も地面を蹴り出す駆動輪となるのでR/Cに比して太くたくましいものに置き換えられて、R/Cカーのミニ四駆化というのは思ったよりもスタイリング上の調整で考えることが多いんだよね。

筆者は当時、元となったR/Cカーは存在も知らないでいた。タミヤのオフロードバギーとの出会いがミニ四駆からであったし、名前の末尾につくJr.の意味がR/Cカーに対する弟分であることを知ったのも少しあとのこと。子供時代の「自分が夢中になって触れているモノの前史」はなかなかたどり着けないものなのだなと感慨にふけってしまう。売り場で新旧横並びの状態でこのマシンを「新発売のマシン」として供給されるここ最近ミニ四駆をはじめた人達の目にはどう映るだろう?
グラスホッパーJr.、2024年12月発売。今年最後のミニ四駆トピック。これは地味に事件だったんだ。それを記しておきたかった。それでは皆さん、良いお年を!