最新記事やプラモデル情報を毎日お届け!
follow on Xをフォロー!

四半世紀ぶりの「遅くてパワフルなミニ四駆」/新シャーシとともに登場したファンブルンを楽しむ!

 ミニ四駆の最新作、ファンブルンがめっちゃ楽しいです。速さを追い求めるのが当たり前になったミニ四駆において、このマシンは完全新規開発のシャーシで真逆のコンセプトを実現。走らせてみれば、その遅さと力強さにまず驚きます。

 本アイテムには「ミニ四駆シリーズNo.24」というナンバーが与えられていますが、これはレーサーミニ四駆やPROシリーズとは異なる、“無印シリーズ”を意味しています。1999年発売の「三菱 パジェロ V6 3500(No.23)」からじつに26年ぶりに現れた「24番目」のモデルということは、単なる新製品という枠を超え、ミニ四駆の原点たるオフロード系マシンの正統な後継を打ち出す明確な意思表示でありましょう。

 初代ミニ四駆たちは、リフトアップされた実車の雰囲気を模し、大径タイヤと高い車高で「どこでも着実に走る模型」を体現していました。ファンブルンもその文脈を引き継いでいますが、構造は当時とはまるで異なります。2005年にスタートした「ミニ四駆PRO」で採用されているダブルシャフトモーター(モーターケースの両端から軸が伸びている)をミッドシップに配置し、両軸から前後輪を同時に駆動するシンプルな機構。縦置きモーター+ウォームギアでも、横置き+カウンターギアでもない、全く新しいレイアウトが採用されています。

 新設計のシャーシは上下分割式の密閉構造で、半透明素材により内部のギアが可視化されています。構造としては、RCカーにおけるTL-01シャーシの「駆動系全体をがっぽり包み込むスタイル」を思い出させます。シンプルでタフな密閉構造ながら、内部の機構が感じられるのがオシャレ。ギアは水平方向に配置することで地上高を確保。アプローチアングルも大きく取られており、段差や傾斜を力強く乗り越える設計になっています。ギア比も大きめ(50:1)に設定されていて、スピードよりもトルクを重視した構成。

 構造は極めて簡素で、パーツ点数も少なく、ビス留めもグリスアップも不要というめっちゃ割り切った構成は「ミニ四駆がこんなに手早く完成するのか!」という驚きをもたらしてくれます。また、スイッチ入れたら壁にぶつかるまでドギューンと走っていってしまうミニ四駆とは違い、時速約1kmというスピードは小さい子が歩いて追いかけるのに最適。かつてミニ四駆に夢中になった世代が親となった今、ファンブルンは子どもと一緒に走らせるための「新しい入口」として設計されています。

 ボディはこのシャーシ専用で、他シリーズとの互換性はありません。しかし、もしこのシリーズが展開されていけば、モンスタートラックやATVなど、これまでのミニ四駆ではあまり取り入れられてこなかったデザインが登場する可能性もあります。タフで自由な遊びを提案するラインとして成長していくであろうEZシャーシのマシンは、「競技としてのミニ四駆」とは異なる文脈で生まれましたが、たぶんオトナたちは違った形で改造し競技化することでしょう(それもまた面白いのだ)。遊びやすさと楽しさに真摯に向き合った設計、ぜひともファンブルンで味わってください。かなりイイです。

からぱたのプロフィール

からぱた/nippper.com 編集長

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』https://wivern.exblog.jp の中の人。

関連記事