現実に存在する大きなものが、手のひらにすっぽり収まるミニチュアになることによって得られる喜びがあります。世界の一部を圧縮して手に入れたような感覚。PLUMから2020年に突如として発売された、ユニークな工業地帯のプラモデル群は、私たちの普段触れることの出来ない「世界」を届けてくれます。
その中でも、個人的に一番ピンと来たのは貯蔵タンク。ウルトラマンの怪獣「ペスター」(ヒトデが2体合体したやつ)のせいです。主食が石油なのでコンビナートで大暴れ、オイル貯蔵タンクを強襲して周囲が火の海になる強烈な光景が脳裏に焼き付いているのです。何の貯蔵タンクか商品名では明らかにしていませんが、私の中ではもうこれはオイル貯蔵タンクということで。
一発で成形されているのに、しっかり階段と手すりになっていて笑っちゃいます。しかもビタっとタンクの外周に綺麗にハマりますからね。人類の叡智を感じるパーツです。
それなりに細く、綺麗にカーブのついた手すりのパーツ。差し込むだけで完成してしまう構成はお見事。一周ぐるっと綺麗に挿し込めた時は、「おぉっ!?」っと夜中に声が出ました。
よく見るとパネルラインも入っていて、結構リアリスティック。まるっとしたタンクと、階段の細かさのコントラストが良いです。
実はこの付属するパイプ群が、めちゃくちゃボリューミー。さらに継手も豊富で配管の自由度が超高い。どうやって配管しようか悩ましいわ……自由度が高すぎると、逆に手が止まってしまうことってありますよね。
そんな時、実物を見て参考にするのが手っ取り早いですよね。なんでもネットに書いてあると思うなよ!……と言いつつ、ネットを頼りにオイル貯蔵タンクについて調べると、群馬県は高崎市の工業地帯がアツそうだったので、さっそく見学に来たのでした。っていうか貯蔵タンク、鉄道模型のジオラマとしてイケるのか。
この色で塗るのもいいですね~。ウィーゴカラーでいけるかな。
タンクの直ぐそばにバルブが付き、網目状のフレキシブルパイプ(振動などから配管を守る)が接続、そこからフランジ接合で鋼管を配管。オイルがポンプで圧送されてくるんでしょうか。遠目からなので判別つきませんが、配管径は200~300φくらいありそうですね。太い。
ビッシリ配管した上に、ビッシリ配管を横断させている……!架台はホントにこうやって使うのね。なるほど。配管を、配管っぽいな~と思わせる要素って、実は配管そのものではなくて、それを固定する支持金物だったりするんですよね。
さて、模型から実物に興味が沸き、模型にまた戻ってきました。せっかく「工業地帯のプラモデルが売られている世界」が実現した、ちょっとだけ豊かな世界になったんですからね。貯蔵タンクのプラモを組み立てる、ヒマ(余裕)のある生活、送ってみましょうか。
1988年生まれ。茨城県在住の会社員。典型的な出戻りモデラー。おたくなパロディと麻雀と70’sソウルが大好き。