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【レビュー】プロ仕様の「静かさと猛烈なパワー」を驚安で。一生モノの相棒になる高級コンプレッサー/PROFIX NITRO-COMP S3

■本記事はRAYWOODより商品の提供を受けて作成しています(PR)

 コンプレッサーのレビューって、書くのが本当に難しい。そもそもエアブラシ塗装というのは身体性の塊みたいなもんで、塗料の濃度から手の動かし方に至るまで、変数が鬼のようにあります。ぶっちゃけ、低圧の小さなマシンで宝石のような素晴らしい作品を生み出すモデラーもそれに適応した操作法を習得しているわけで、コンプレッサーのスペックだけ上がれば塗装が上手くなるわけじゃありません。ただ、プラモをたくさん作ってある一定の経験値が溜まると、誰もが「大は小を兼ねる」という真理にガツンと突き当たるはずです。

 高圧のコンプレッサーと聞くと「デカい模型を塗るため」とか「ものすごく濃い塗料を吹き付けるため」と思いがちですが、パワーに圧倒的な「余裕」があれば、調整の幅が広くなるというのが超大事。そのとき欲しい圧を、いつでも瞬時に選べる……つまりクルマの運転でいうところのアクセル開度の幅がめちゃくちゃ広いのです。軽自動車でも目的地には行けけど、街の渋滞から高速の追い越しまで、終始ニヤニヤしながら快適に移動するならハイパワーなクルマのほうが絶対に楽だし、疲れないというのに似ています。

 普段の私はPROFIXのNITRO-COMP V1に同社のエアタンクのT-25を繋いで使っているのですが、ぶっちゃけこれでも完成された環境と言っていいと思っていました。だけど、同じPROFIXの最新機種であるNITRO-COMP S3を手に取った瞬間、ああこれなら本当にどこへでも行けるな……という気にさせられました。ということでここから先は実機を使った正直レビューと参りましょう。


 まずS3はオイルピストン式なので振動と音が圧倒的に小さいのがよろしい。公称39dbとありますが、試しにコンプレッサーのすぐ近くにスマホを置いて実測したら45.6db。ハッキリ言って、塗装ブースのファンが回る音や、ハンドピースの先から出る空気の音のほうがよほどデカいレベルです。体感としては「ビジネスホテルでちょっとだけ古い冷蔵庫が唸っている」くらいの音。これなら深夜の住宅街だろうが、隣の部屋で家族が寝静まっていようが、ほぼ気にしなくて良いでしょう。ピストンの起動時だけストトトト……と音が出ますが、それもわりと一瞬のこと。

 そして、ダブルタンクの圧倒的な容量です。合計7.4Lという鬼のような容量で、脈動を極限まで抑えられることにより安定した吹付けができます。一度満タンまで空気が溜まればオートカットが入りますが、目盛りを1bar(0.1MPa)程度に合わせ、断続的に吹き付けるというフツウの使い方をするのであれば、タンク内のエアだけでとんでもない時間吹き付けていられます。リリーフバルブ式ではなく感圧式のON/OFFなので、運転中に突如「バシュウウウウウ!」と空気を排出することもありません。「最初にタンクを満たしてしまえば塗装中の大半の時間はコンプレッサーが止まったまま」というのはかなり快適で、いちど体験すると常時ブルブル言ってるコンプレッサーとはサヨナラしたくなってしまいます……。

 ふたつのタンクからそれぞれ突き出たレギュレーターは水抜きやエア圧調整も簡単。もちろんふたつで異なる圧力を同時にキープできるため、片方は高圧に固定してサーフェイサーや重たいメタリック塗料、ウレタンクリアーなどを扱い、もう片方は低圧に絞って迷彩や細吹き用といった使い分けもできます。ハンドピースを2本直結しておけば、いちいちダイヤルを回して圧を調整し直す手間がなくなりますし、分岐コネクタを使えば3つ以上のハンドピースを使い分けたい人も安心です。

 最高圧力0.8MPa、定格0.4MPaという数値は模型用としてはオーバースペックに思えるかもしれませんが、最近は手元でエアフローをいじれるハンドピースも多いため、私は0.2とか0.3mmの口径でもレギュレーターを0.3MPa(=3bar)あたりにセットしています。サフやメタリックは高圧で吹き付けるとミストが細かくなり、塗膜もキレイになります。おまけに、塗装が終わった後にハンドピースを掃除したり、ホコリを飛ばしたりする「ブロワ」として使うときも、高圧であることの恩恵を受けられます。

 さらに0.5mm口径のハンドピースで大面積をガツンと塗るとなれば、さらなるパワーが欲しくなるところ。一般的にトリガー式のハンドピースはエアフローバルブが付いていないため、レギュレーターでの調整がキモになります。実際にトリガーを握りっぱなしにしてレギュレーターのダイヤルを捻り、0.6MPaあたりにセットしても針がピタッと止まったまま、安定して空気が吐出されるのにはだいぶ感動します。0.5mm口径のハンドピースは巨大なアイテムだけでなく、カーモデルのボディや戦車模型の下地色など、単色で手早く塗るときにめちゃくちゃ便利です。

 もちろん、全員に「これ買え!」とは申しません。幅330mm×奥行360mm×高さ380mmと寸法的にはかなりゴツいし、重量は17kgもあるので持ち運びも大変。しかも構造上、定期的なオイル交換(といっても年1〜2回、専用オイルをちょろっと換えるだけだが)が必要になるハイアマ〜プロ向けのツール。ただ、これまでホビーユースとして売られてきたコンプレッサーの歴史を振り返ってみると、オイルピストン式と大容量タンクを組み合わせたシステムは片手で数えるほどの選択肢しかなく、わりと目玉が飛び出るような価格を覚悟するしかありませんでした。しかし、NITRO COMP S3は直売価格で送料込み55000円と驚くほど値段がこなれています。買ったその日から、ホースもスタンドも全部入った「プロの塗装環境」が部屋に爆誕すると考えるとかなり安い……。

 月に1回、週末にちょっと触るだけのサンデーモデラーなら、手軽なV1あるいはタンク搭載型のV2(ともにオイルレスモデル)を選ぶのも良いでしょう。反対に、ほぼ毎日塗装ブースの前に座る人、締め切りに追われるプロモデラー、あるいは何本ものハンドピースを限界まで効率よく回して、最高の一作を仕上げたいと執念を燃やすあなたにとっては、これが間違いなく「一生モノの相棒」になるはずです。静かなのに持続性のある猛烈なパワーというのは、コンプレッサー探しの旅における究極的な憧れ。あなたもぜひ強力な相棒を手に入れてください。そんじゃまた。

からぱたのプロフィール

からぱた/nippper.com 編集長

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』https://wivern.exblog.jp の中の人。

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