

また新橋タミヤプラモデルファクトリーに行ってしまった。もはやプラモデルを買いに行っているというよりも、あの店のセレクトしたランナーやデカールをdigりに行くという状態で、掘り出し物の盤がないか、今どんな音がイケてるのかを探りに行くレコードオタクのような動機である。
で、ビニール袋に入ったさまざまなパーツをペラペラとめくりながら品定めをしていたら、緑色の飛行機が出てきた。とても小さいが、色を見た瞬間に「日本の飛行機だな!」とわかるのに慄いた。だいたいタミヤの船の模型にくっついてる飛行機はグレーだからね。

ゲタ(=フロート。水上飛行機の下にくっついている舟形の装置)を見てハッとした。これ、晴嵐だ……。イマドキの原子力潜水艦は水中から空に向かってミサイルをぶっ放すが、そもそもそんなすごいことを思いついて実現したのは日本人である。もっとも、第二次世界大戦のときは水中ではなく潜水艦を浮上させて、筒の中から攻撃機を繰り出すという原始的なものだったが、それを見つけた米軍の人々は「え、マジで!?」と驚き、戦後必死になって潜水艦を「魚雷を撃つための兵器」から「空中にも攻撃を繰り出すもの」に変貌させようと努力したのだ。
折りたたまれた主翼と水平尾翼を展開し、ふたつのフロートを合体してからレールの上をえっちらおっちらと押し出して爆弾を抱えた飛行機が潜水艦から発進する。こんなワンダーなメカが指先サイズで精緻に立体化されている。ビキビキのスジ彫り。そして収納状態と飛行可能状態をそれぞれ組むことができるパーツ割り。



この晴嵐はタミヤ製の1/350 日本特型潜水艦 伊-400というキットに付属するパーツだ。極薄の金属製パーツでプロペラやレールの上を移動させるための台も付属するようだが、このバラ売りのパーツにはそれが付いていない。ここでは「プロペラは回っているから見えない」ということにしよう。



小さな小さな晴嵐(しかもプロペラがくっついていない)を組むうちに、そのパーツ構成の妙とかっちりした造形の虜になる。オレがこれから組むべきは、1/72ウォーバードシリーズの晴嵐か、1/48傑作機シリーズの晴嵐か(どちらも傑作プラモだということが判明しているので、じつは組んだことがないのだ……)。それとも、これを射出するシーンまでをまるっと内包した1/350の伊-400か。
たまたまショップで出会った小さなパーツでふたつの扉が目の前に立ちはだかる。左を開けば飛行機模型の花園。右を開けば艦船模型の楽園。どちらもドラマチックで、魅力的だ。まるで映画の予告編のように、ふと目に入ったプラモがふたつの未来の序章を見せてくれる。いきなり大きな模型を選ぶのには勇気がいるけど、こんなストーリーの導入があるというのは意外だと思ったし、案外合理的でスマートなんじゃないかな、と感じたのだ。