プラモの可能性を信じて、俺とフィギュアが噛み合うひととき。

 10年前の同窓会。女の子に飲めない酒をめちゃくちゃに飲まされて「私、クリスチに言いたいことがあるんだ」と言われたことがあります。

 なんだかドキドキしますね。今も昔も私は記憶力が良い方なのでとてもよく覚えてます。そのあと、めちゃくちゃに吐いたことを。

 プラモデルは……というか、たいていの趣味は物言わぬ何かに向き合う行為が発生します。「いつも箱絵がこちらを見ている気がする」と思っていたのがICMの1/32のフィギュアたち。「あっ」と思い手に取っても、そのスケールと到底作れそうにない大きなサイズの飛行機のことを考えて棚に戻していましたが、買ってみたら最高でした。素晴らしい箱絵は私に言いたいことがあったのかも知れません。「私は最高だ」なんて。

 実際のところ、作ってみると文句のない、というか称賛しかない美しさ。陸に勤めるものたちと一味違う制服は私の心をグッと掴んだし、飛んでいない飛行機の周りで描かれる情景も本当に好きです。接点がありそうでなかった、なさそうであったその子とも互いの何かが違えばカチッと噛み合ったのかもしれません。

 スパナを片手に持った彼は、やっぱり途中も美しい。ICMの「1/32 第二次世界大戦 イギリス空軍 グランドクルーセット」は箱を手にした瞬間から組み上がるまで、ひとつひとつが本当に好きなフィギュアです。1/32という大きさは表現の強さがよく出ています。作るまでは全く見えなかった、想像だけではどうにもならない実体の良さを感じることができました。

 きっと私は近いうちに「俺には到底無理だ」と思ってた1/32の飛行機を作り、喜ぶでしょう。未知を無理としたり、壁を作って距離を取っていた自分を、こんな小さなフィギュアが変えてくれるというのはとても面白い経験です。

 まるで約束されていたストーリーのようなハマり方をしたICMのフィギュアですが、もっともっと作ってみたいです。「皮切りに」なんて言葉がありますが、もしかするとプラモ趣味の皮切りはフィギュアなのかもしれません。

 あ、そうそう。私に酒を飲ませた女の子はそのあと「高校生の頃、好きだった」って言ってました。友人曰く「どう話しかけたらいいかわからなかったから」だそうです。変なタイミングで話しかけたり、ホームルームのときに突然話を振ったりしていたのは、そういうことだったんですね。

クリスチ
クリスチ

1987年生まれ。デザインやったり広報やったり、店長やったりして、今は普通のサラリーマン。革靴や時計など、細かく手の込んだモノが好き。部屋に模型がなんとなく飾ってある生活を日々楽しんでいます。
Re:11colorsというブログもやっています。