テストショットレビュー/人間プラモ「PLAMAX 谷口信輝」で感じる脳への刺激!

 例えば車のプラモデルを作るとき、ひとつひとつのパーツを組み合わせていくと、なんとなく車のことが分かってきます。エンジンの形や、ステアリングがどういう風につながっているのかを観察しながら組み立てると、まるで自分がメカニックになったような気分がする。これはプラモデルを作る楽しみの一つだと思います。

 ではこれはどうでしょう?「PLAMAX MF-49 minimum factory 谷口信輝」は御覧のとおり”人間のプラモデル”です。「人間のことは自分がよくわかっているよ、人間を組み立てて楽しいのか?」と、そう思ってました。でも楽しいんです。これは車のプラモデルとは真逆の楽しさ。実際の人間は車のようにパーツに分かれてはいません。そんな人間をプラモデルにするためにバラバラにする。その時に思いもしないようなパーツ分割から生み出される不思議な感覚が脳を刺激してくる。これは組み立ててもらわないとなかなか伝わらないと思うんです。

 まずレーシングドライバー、谷口信輝選手の顔を見てください。なんだこのSF映画に出てくるアンドロイドみたいな分割は!ヘルメットのヘッドパーツがついているので、首から顎にかけての部分を共通にするためにこんなパーツ分割をしてるんですね。うまく貼り付けると、ヘッドパーツを付け替え可能にできます。このヘルメットのパーツがあることで、谷口選手にもそれ以外の誰かにも出来る。これを使えば、もちろんあなたも私も優勝出来るんです。

▲ガッツポーズ!ヘルメットは選択式だ。

 そしてこのプラモデルが最高なのはカメラマンがついてるということ。組み立ててポンと置けば、そこがどんな場所でも撮影現場に。谷口選手はガッツポーズで立っているだけですが、カメラマンは片膝立ちでカメラを構える複雑なポーズなのでパーツ分割は谷口選手以上の奇妙なものになってます。

 見てください。この肩とカメラバッグ一体化したパーツが上半身に合わさる様子を。パズルのピースのように正解の場所にピタリとはまり、流し込み接着剤を流すとまるで最初から一つのモノだったかのように合わさるのはプラモデル以外では体験できない快感です。

 ……そもそもなぜこんなに複雑な分割にしなければならないんでしょうか。「3Dスキャンした人間を分解してランナーにおさめるくらい俺もできるよ!」と思うかもしれません。しかし、ことはそう単純じゃないわけです。プラモはあまりに厚く成型すると、ヒケと呼ばれるパーツの収縮が発生し、形が崩れる。そのためなるべく薄く成型しなきゃならない。なおかつ金型というのはサンドイッチのように合わせてから溶けたプラを流し込むので、穴や突起物は基本的に一方向(金型が動く方向)にしか作れないわけです。それらの制限をクリアしつつ作りやすいように試行錯誤をした結果、複雑な分割とそれを組み立てる面白さが生まれたわけです。

 ただ谷口選手やカメラマンをリアルなプラスチックの塊にしたわけじゃない。組み立てて遊ぶということを意識して作られたオモチャなんだということをわかってもらえると、プラモデルというものをもっと気軽に楽しんでもらえるんじゃないかと思います。

 リアルに塗らなきゃとか谷口選手知らないしとか考えずに、とにかく組んでみてください。人を組み立てるという不思議な感覚の虜になること間違いなしです。

もとぴ
もとぴ

東京在住。世界を理解するための糸口としてプラモデルを制作中。趣味の記録や思索のためにnoteも書いています。