海は果てしなく続いているのに、砂浜から見える水平線は案外近いところにあるって知ってましたか?
広く見える大海原も、実際見えているのは約5km先まで。これは地球が丸いからです。水平線の向こう側を見たければ少し背伸びするしかない。10km先を見たければ10mの高さ、25km先を見るには50mが必要です。だからレーダーがない時代の戦艦は、遠くの敵を相手より早く見つけるには艦橋を屋根より高く持ちあげる必要があったのです。
巨大な主砲と背の高い艦橋が戦艦の魅力ですが、その中でも戦艦「扶桑」はかなり異様な姿をしています。1915年竣工の旧式の軍艦を大掛かりに改装した結果、艦橋の高さは50m。増築を重ねた違法建築のようなシルエットになりました。速度が遅くて活躍できる場面は少なかったのですが、1944年10月のレイテ湾突入に挑んだスリガオ海峡の海戦での壮絶な最後は歴史に深く刻まれています。一度はプラモデルで作ってみたい戦艦です。
艦船キットは小さな部品との格闘ですが、最新のパッケージには機銃を簡単に組めるパーツが入ってます。2枚のランナーを先に貼り合わせてカットすると米粒ほどの機銃が組み上がった状態で切り出せる仕掛け。ピンセットの先でパーツを組む作業を何時間も強いられるのはやっぱりストレスだから、こういうアイディアは嬉しい。
説明書に船体から作れと書いてあるけど、後回しにて艦橋を組みます。船体は慎重に作らないと吃水線が水平にならなかったりでちょっとムズカシイ。前に駆逐艦でそれやってヘコミました。それで今日は美味しいとこからつまみ食い。お子様ランチのハンバーグは最初に食べる子供でした。
完成です!艦橋だけですが、色も塗ってベースを付けたら艦橋モデルの出来上がり。これでも戦艦の面白さが十分味わえます。船の巨大さが伝わるように1/700の水兵さんもセットしました。人がいると大きく見えるし、何よりもプラモデルに時間が生まれます。
艦船モデルにはどこか敷居の高さを感じてました。エッチングパーツ満載の精巧な作品を見るとため息が出ます。割り切ってストレート組みでという気になっても週末だけでは終わらない部品の数に気遅れして、小さな駆逐艦で我慢しようと思ってしまいます。だから戦艦を作る事は長い間の夢でした。
夢は無限、時間は有限です。無理だと思って最初から諦めてしまうよりは、今の自分にできるところを作って残りのパーツに未来の時間を想像する方がどれだけ楽しいことか。