

よくよく考えたら、我々も一色のプラモデルをカラー化しているわけで、今は(見られ)ないものを鮮やかに蘇らせている、ということでもあるんですね。この「日本海軍艦艇カラーガイド1 日本の戦艦12隻」は、帝国海軍がさきの大戦に投入したすべての艦船を網羅して、残された写真をカラーにしています。モノクロの写真がカラーになることでどうなるか、というのはとくに近年よく見ることですが、これだけまとまっていると迫力があります。

「戦艦」。それは軍艦のなかでも最上級の艦艇でありプラモデルでも花形の存在です。このサイトでも何度かキットを紹介していますが、たくさんのメーカーから何回も発売されているだけに、膨大な数があります。その勇姿をカラー化した写真でじっくりと堪能できます。

自分が好きなのはこの比叡の写真。曇りのような薄暗いなかでも薄い光を前から受け、立体感がしっかりした比叡の姿がよく見えます。知っている写真だけどカラー化することで、また新たにイメージされるものがあります。

白黒の写真や映像をカラーとして認識する、ということの難しさ。横須賀の海を見ても、ここにかつての軍艦の姿を想像するのはなかなか難しいものです。しかし同じ空を、海を見ていた人々がいたのです。

しかしこうやってカラーになることで、少しだけそういったイメージができるものです。見たことある写真のはずが、印象が変わって見える。これは結構驚きでした。

カラー化しているからというわけではありませんが、戦艦の塗装の話もあります。面白いのは山城の艦底色です。いっとき緑色の艦底色があったという話があり、いろいろな戦艦プラモの艦底を緑に塗ってみるなんて流行りがありましたが、「なんか違う……」という感想があったのも覚えています。飾ったときに下があの濃い赤なの、なんかバランスがいいんですよね。

写真のほかにも立体図や線画があって、各戦艦の変遷などもわかります。扶桑のあの艦橋はどうやって育ったのか。また長門の特徴である楼構造も過去の図面からより理解できるかと思います。

戦艦それぞれのフォーカスだけでなく、メカニズム関連の資料もあります。その写真も全部カラーやCGです。対空系の話はなるほど! という話がいっぱいで、プラモデルであれほど植えた高角砲や機銃ってそういうことだったのか……! となります。

帝国海軍の戦艦があつまって写真がカラーになっている、というだけでいつもと違った戦艦の姿が楽しめます。他にも細かいところまで解説がありけっこうボリュームがあります。

カラー化された写真が自分の模型の色付けにも推進力をくれる、そんな一冊です。すでに戦艦の資料をお持ちの方にもオススメですよ。