

1/700艦船模型の世界は、日本海軍を中心に製品化が進められました。そのなかで、日本海軍と熾烈な戦いを繰り広げた米国の艦船もプラモデルとなっています。ライバルがいるからこそ、コレクションは盛り上がりますね。

今回紹介するテネシーもまさにそうです。テネシーは先の大戦では真珠湾でまず苛烈な攻撃を浴びた艦船。損傷を修復しミッドウェーにも参戦、そこからさらに改修を受けた後、タラワ、クェゼリン、エニウェトク、サイパン、ペリリューと、激戦の地を海上から支援しました。海での戦いも続き、レイテ沖海戦ではスリガオ海峡にて戦うことになりました。最後は沖縄にも参加しているので、帝国海軍の激戦地ほぼすべてに顔を出す殊勲艦ということになります(リアルホワイトベース状態です)。

日本海軍の興亡をその目で見てきた戦艦であり、エピソードには事欠かない戦艦。この戦艦をピットロードは1941年、1944年のそれぞれの姿で立体化しました。今回ご紹介する1944年バージョンは、艦橋など大規模に近代化改修をし、さらに対空兵器をマシマシにした迫力ある姿になっています。

パッケージのなかには細かいパーツがたくさん。まさにパーツの奔流!!


余談ですが真珠湾攻撃の写真、燃え盛るウェストバージニアの奥に並んでいる籠マストの戦艦がテネシーです。陸側にいたので被害を小さくすることができましたが、ウェストバージニアは多数の魚雷を受け沈没しました。もちろん、ウェストバージニアも執念の改装を受け戦列に復帰しました……。アメリカは大国。

エッチングパーツを使わなくても完成するように、プラパーツのカタパルトやクレーンもあります。エッチングパーツを使う場合は基部を切り取って使うので、どちらかの選択式になります。



Mk.12レーダーも自分で組み立てます。手強い分割ですが、これが組めるならこのキットは怖いところはないでしょう。4本の脚をMk.37方位盤(基部、左から2個目のパーツ)に、脚の上部にレーダーを接着します。一番左の写真が組み上がった状態です。

こうやってちまちまと部品を集めて、ギュッとした艦橋を作っているときが、自分にはいちばん艦船模型の愉しいところです。ああ艦船模型を作っている、そういう充実感がすごいです。


防御性能の高そうな船幅、突き出た砲身、ハリネズミのような高角砲。いかにも戦艦、という迫力を体現しています。

真珠湾から沖縄まで。テネシーは日本海軍の多くの攻撃をその身に受けながら、激戦地を戦い抜いていきます。最後は特攻機を2機も受け、あわや艦橋にも突入されそうになりながら、なお修理を受け短期間で戦闘に復帰するタフさを見せつけました。戦後はフィラデルフィアへと帰還したのですが、シンガポールを発ち、インド洋、喜望峰を周り、大西洋を通っています。この世界一周は、1943年の近代化改修の際、防御力アップのバルジを装備して、パナマ運河を通れない幅になっていたからでした。こうしたエピソードが実際に作ったその太い船体から感じられるのもまた面白いところですね。
この中央にピラミッドのように盛り上がるアメリカの戦艦はとても新鮮ですね。艦船模型も作れば作るほど、各国の設計の差異を指先で感じることができます。形になると、各国ごと本当に全然違うので、ぜひ外国艦も楽しんでください!! それでは~。