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トライアンドエラーの集合体が魅せる唯一無二のかっこよさ。日本独自設計による初の戦艦「扶桑」を組む!

▲一目見たら忘れられない艦橋デザイン! そしてなんかスカスカした独特の密度感……。アオシマの「1/700 日本海軍 戦艦 扶桑 1944 リテイク」のプラモを見ていきましょう

 アオシマの1/700スケールの戦艦でぜひ作ってほしいのが「日本海軍 戦艦 扶桑 1944 リテイク」。日本海軍で巡洋戦艦金剛に続く、超ド級戦艦として制作されたのがこの扶桑です。金剛はイギリスで設計され、それをもとに日本で3隻(榛名、霧島、比叡)が建造されたのですが、この扶桑は完全日本スタートの設計。キットはその最終時とも言える1944年の姿をプラモ化したものです。

 戦艦には国名をつけるのが日本海軍の習わし。「扶桑」という日本自体の異名がついていることを見ると、すごい気合の入った命名かもしれません。しかし14インチ砲を6つも搭載する、攻撃こそ最大の攻撃を地で行く野心的な設計が災いしたのか、船の中心にある第3砲塔の発射時の爆炎が強すぎ、という問題に見舞われることになります。


 それを対策した結果、あの違法建築ともあだ名される艦橋が育ちはじめるのです。そして最初の改修時には艦橋の後ろに煙突があったのでまだ太いシルエットだったものが、さらなる改修を受けて煙突がいなくなり、第3砲塔の上で艦載機を運用するなどという実験的要素をさらに積み増した結果、見たものを不安にさせる艦橋根元のくびれが誕生してしまったのです。さらに大戦時にいたっては、艦載機は第3砲塔の上から艦尾へと移動、ますますスカスカ感に拍車がかかります。

 そして運命の戦いとなるレイテ沖海戦においては、艦橋トップにレーダーである21号電探を装備。艦橋はさらに伸びたのでした。よくスペックでは海水面から50メートルなんて言われますが、この艦橋パーツを測ってみると53mm、700倍にすると37100mm、37.1メートル、艦体パーツは11mm、これも700倍すると7.7メートルなので、プラモデルでは44.8メートルでした。まあここは喫水線の位置を高めにとるとこうなる感じではあります。攻めすぎた設計と実験要素があの艦橋を生んだ、ということです。

 アオシマはあまりにイケイケなメーカーなので、扶桑の天敵である魚雷艇PTボートを付属させ、あまつさえ最初に組み立てさせるという鬼のような所業をさせてきます。扶桑はこのPTボートの群れによって痛めつけられたのです。

 扶桑建造のハイライトはやはり艦橋です。組んでいてこのあたりまでは戦艦らしいシルエットだと思うでしょう。

 どうしてこうなった。組んでいる途中からおかしいと気づくのが扶桑の艦橋です。アライメントには気を付けているはずなのに、どこかが傾いているような錯覚を覚えます。

 バオバブの樹みたいなパーツはなんなのか、最初はさっぱりわかりません。これが……伝説の扶桑の樹!?(扶桑ってググってみてね!!)

 ひとつパーツを重ねると、それが後楼であり、枝は補強板というのがわかります。こうしたパーツのまとめ方がうまいのがアオシマの艦船です。

 なぜ扶桑はこのような他に類を見ない姿になっているのか……。第3砲塔の爆風を対策した、第3砲塔の上に航空機カタパルトを置いてみて、その後撤去した……。さまざまな実験的要素が繰り返されたことで、このようなカタチとなっていきます。そして皮肉なことに、この攻めすぎた砲配置は、扶桑に最期まで付きまといます。

 スリガオ海峡にてPTボートに襲撃されたあと、駆逐艦によって放たれた魚雷は、この艦中央の第3第4砲塔につながる弾薬庫にダメージを与え、扶桑は折れ、海底へと去っていったのでした。建造から終焉まで、その実験的要素や攻めすぎた設計に振り回された悲しみの戦艦、それが扶桑なのです。

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けんたろうのプロフィール

けんたろう

各模型誌で笑顔を振りまくフォトジェニックライター。どんな模型もするする食べちゃうやんちゃなお兄さんで、工具&マテリアルにも詳しい。コメダ珈琲が大好き。

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