1/200戦艦大和のプラモを作って得られたモノ/フジミの戦艦大和 「主砲塔」と「外郭」

▲全長約80cm。デカ過ぎて廊下で撮らざるを得ない。

 完成しました。フジミ模型の装備品シリーズ4部作、1/200 戦艦大和 「艦橋」「中央構造」「外郭」「主砲塔」そのすべてが。主砲下部はバッサリ切断して改造してますが、あとは全部素組み。フローリングの甲板に、鉄の要塞が現れる超常現象を自宅で堪能しています。
 しかしこの大胆に戦艦を切り取ったフジミの装備品シリーズ。組み立てが楽しくなるような工夫に溢れたプラモデルで、私は感心しっぱなしでした。今回は「主砲塔」と「外郭」にフォーカスを当てて振り返ってみます。

▲『九四式46センチ3連装主砲塔』キットのパーツ。同じものが3セット入ってます。
▲『中央構造 外郭』キットに付属する「15.5センチ3連装副砲」のパーツ。

 大きなパーツから小さいパーツまで、至る所にスライド金型を使っていて、砲塔の装甲は5面(前後左右上)の造形がほぼ出来上がっております。「ディティール彫っておきました!イージーな組み立てにしておきました!」という、物言わぬプラモからの強い意志を感じます。同じような砲塔の組み立てが続いたりして作業的になりがちなので、こういったサービスは単純に気持ちいいなと思います。余力と時間を、別売りのエッチングパーツや、塗装に注力することも出来るのですから。

▲主砲の内部がこちら。真鍮を表現した尾栓がオシャレ。
▲副砲の内部も、豊かに彫刻されています。

 フタをして見えなくなってしまう所まで、しっかり造形されてあるのも嬉しいポイント。自分が何を作っているのか、という理解が視覚的に補強されます。ちょっと目を凝らすと、あぁこの部品はこういう動きをするんだろうな、という想像が働いたりして脳が刺激されるんです。

▲説明書はとても見やすく、パーツ名称がひとつひとつ書いてあるのが本当に偉い。

 部品を取り付けしていて、「私は何を作っているんだろう」という感覚がほとんどありません。説明書の部品番号と一緒に書いてある部品名称を見て、それが何なのか理解しながら部品を取り付ける行為は、作業感を無くすことに大きく貢献しています。また、その時に理解できなくても名前さえ判れば、後からいくらでも調べることができます。

 良い点が沢山あるキットですが、難点がひとつ。これは主砲のキットに多かったのですが、ダボ穴がキツ過ぎてピンが入らないパーツが散見されました。これはピンを切り飛ばして接着剤で取り付ければ全然問題ないのですが、すこし不便。とは言え、たくさんのおもてなしを見せてくれているキットなので、持ちつ持たれつという気持ちで作るのが吉でしょう。完璧な商品など、この世にはありません。

 また、本キット群を作る際の副読本として、タミヤの軍艦雑記帳をオススメします。ほとんどの項目で戦艦大和に触れているので、とても理解が深まります。

▲完成した主砲だけを手に持って、外を眺めてみます。

 当たるかどうかはまた別の話ですが、46センチ砲の最大射程は42kmもあったそうです。42kmに1/200を掛けるとだいたい200m。「200mというと、あの電信柱ぐらいまでか。この豆鉄砲がよくあそこまで……。凄い威力だ。」と、模型を手に持つだけで想像力の範囲が拡張されていきます。

▲出来たプラモを、ターンテーブルで回す癖のある筆者。

 こちらは「艦橋」と「中央構造」に、「外郭」のキットを合わせた姿です。物凄い数の武装を積載していた戦艦大和。密集した砲台の円形が曼荼羅のような模様を描いて美しくも見えると同時に、無数の砲門が威嚇して膨れるだけのハリセンボンのようにも見えて滑稽さを感じたりもします。工業の結晶である兵器の純粋な美しさと、その存在意義が持つ醜い業に対する、アンビバレントな感情が芽生えます。

 私の実生活とは全く接点の無い戦艦大和という存在。そしてそのプラモデル。ふとした興味から手に入れ、そのカタチに触れ、今まで考えたことのなかった事象や、初めて抱く複雑な感情に触れることができるほど、1/200戦艦大和はよく出来た製品でした。私は満足です。

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ハイパーアジア

1988年生まれ。茨城県在住の会社員。典型的な出戻りモデラー。おたくなパロディと麻雀と70’sソウルが大好き。