ブロンプトンからの阿部寛/アオシマの五式戦で味わう戦闘機プラモのうまみ成分。

 自転車で模型屋さんを巡る散歩。オレンジのブロンプトンに乗る時はトップチューブに直接カチッと取り付けられる同色のオルトリーブ O-bagを愛用しているのですが、見た目よりずいぶん容積が少ないのが玉に瑕。かと言って冷やかしで何も買わずに帰るのも、じっとこちらを見ているお店の人にとってはいい気持ちじゃないはず。小さくて、薄くて(そう、今日はもう一軒周りたいのだ)、まだハコの見たことのないもの……ということで手にとったのがアオシマの「1/72 五式戦 甲型 角型風防」でした。

 1/72の飛行機模型といえばハセガワとタミヤばかり組んできた自分にとって、アオシマのキットは未体験ゾーンでした。このキット、2013年が初版なのでじつは飛行機模型としてもかなーり新しい部類。箱を開けてかなり大きな声を出してしまいました。「繊細」というよりむしろ、力強いディテール。線が太くて彫りの深いスラッとした伊達男のようです。しかし肌はほんの少し梨地でワイルド。阿部寛みたいなプラモだな。俺と鬼スラやろう。冬の鬼スラだ。

▲人によって好みはありますが、小さいスケールに谷川の崖のようなゴツっとしたラインが入っていると遠目にも存在感が増します。
▲いいよねえ。エンジンや機銃、パイロットもてんこ盛り。彼、なぜか説明書では「なかったこと」にされていますけど。

 平日の夜、サラッと組んでみようかな……と手を出してみると2時間くらいで士の字になります。子供の頃だったら接着剤が乾くのを待ったり細部塗装をちまちまやっていたかもしれませんが、今は速乾の接着剤天空ペケ字拳のおかげで「とりあえず全部貼っちゃえ」がひと晩で終わります。たくさん組んでおけば晴れた日に気に入った飛行機をつまんで、サラサラと絵を描くように塗る楽しみがストックされます。小さなパーツはなくさないように小皿に取っておくのがGOOD。

▲ミッチミチのコクピットは精密感満点。1/72とは思えない立体感!
▲バシーンと貼って、胴体を好きな色で塗れるところまで来ました。

 エンジンの供給が全然間に合わなかった飛燕(三式戦)の胴体に急遽空冷エンジンをくっつけた間に合わせの戦闘機が五式戦。でもその性能が思ったよりも素晴らしく……というのは飛行機プラモを触り初めてから知ったこと。縦に薄い飛燕の胴体に星型のエンジンをくっつけたのでカウルが丸く張り出しているというのも、Wikipediaを読むよりダイレクトに感じられるのがプラモの最高なところです。

▲そういやCosfordで見た世界唯一の現存機は、後方がよく見える涙滴風防の個体でした。

 小さくてもゴツっとした存在感。精密なコクピットを組む助走段階から、ダイナミックに羽ばたく胴体〜主翼の組み立ては1/72の飛行機模型の持つ美徳です。ただ組むだけならば、プラモのなかでもいちばん素早くカタチになって、キレイに伸びやかなシルエットが手に入る。このスケールの飛行機模型って、あらゆる人におすすめしたいジャンルだよなぁ、と改めて感じたのでした。

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からぱた

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』http://wivern.exblog.jp の中の人。