

1940年に竣工し、その後太平洋戦争で何度も激戦地に赴き生き抜いた幸運艦、雪風。帝国海軍の駆逐艦という区分や、陽炎型という同型艦の1隻ということは知らなくても、雪風という艦船は知っている人はおおいのではないでしょうか。こちらも最近『ゴジラ-1.0』に登場し、一躍有名になった艦船です。

パッケージにはそんな雪風の激闘を示すかのように、砲火をあげる雪風の姿が描かれています。「駆逐艦」という区分は水上の敵を狙ったものですが、太平洋戦争が始まってしばらくすると航空機が強敵となって襲い来る時代に。こういったドラマが1枚の絵に込められています。

アオシマが2024年に開発した新艤装パーツ、雪風では「五十口径三年式十二糎七砲」(いわゆる12.7cm連装砲)に注目しましょう。この手の砲塔は同じ名前でも時代とともに形状や性能がちょっとずつ改良されるので、いわゆる共通パーツには含まれないものでした。とはいえ砲塔は艦船模型では目立つ部分のひとつなので、ここが精密化されるとぐっとディテールが引きあがります。

陽炎型に限りませんが、帝国海軍の駆逐艦は時とともに対空強化の必要に迫られて改修をしていきました。雪風には右のランナーがついていますが、これは電探(レーダー)を取り付けるためのマストと、そして砲塔をひとつ外して対空機銃座を増やすためのパーツが入っています。

もちろん通常の艤装も新パーツですよ。駆逐艦に限らずですが、いよいよ手で持つには小さすぎるパーツばかりなので、ピンセットを使ってくださいね……。

狭い船体にとにかく武装がぎゅうぎゅうなので、パーツをモリモリ取り付けると、取り付けたぶんだけ迫力と精密感が増してくるのが駆逐艦の魅力です。対空機銃、魚雷発射管、電探なども新パーツで、精密感の引き上げがすごい部分です。

水雷艇の駆逐にはじまり、魚雷による対艦、爆雷による対潜、機銃による対空と多くの役割が増え、その役割の多さゆえに最前線で働き続けた艦船が駆逐艦です。雪風は本当に運よく生きながらえました。調べれば調べるほど、このキットの対空機銃を増した1945年の姿が、単なる精密な立体物に見えなくなってくる。そんな魅力が雪風には詰まっています。