
ドイツ空軍の戦闘機「Bf109」といえば、現在でも多くのメーカーから新作キットが発売され続ける、ヨーロッパ戦線を代表する名戦闘機です。私自身も最近、ボークスのSWS 1/32で実機をそのまま縮小したような設計思想や細部の違いを楽しみ、さらにファインモールドの1/72では、一人のパイロットの愛機を追体験するような物語に触れました。作るたびに、新しい魅力やドラマを見せてくれる飛行機なのです。


ゆっくりと、着実にBf109という飛行機を知っていくなかで、ふと模型店で目に留まったのが、タミヤの「1/48 Bf109E-4/7 TROP」でした。最近発売されたG型や、これから登場するG後期型ではありません。1990年代後半に発売され、今でも店頭で手に取りやすい、タミヤ1/48傑作機シリーズの一機です。

1/48スケールながら、メインのランナーがわずか2枚で、クリアーパーツを含めてようやく3枚。このシンプルさはかなり衝撃です。

そうそう、Bf109のエアフィルターといえばドムトローペンの脚……って、なんかちょっと違いますね。私の知っている丸い筒はのちの装備のようで、この角ばった形状こそE型らしさのようです。

カッコイイパイロットアニキも付属します。顔の迫力が段違い。1パーツでよくここまで表現した、という見どころたっぷりのパーツです。

こちらの3パターン、航続距離を増やすために増槽を取り付けたA、エアフィルターがグイッと伸びるB、スピナー先端が違いバトルオブブリテンに参加したJG2リヒトフォーヘン部隊のCと3つのバリエーションから選べます。

このスピナーの違いと先ほどのエアフィルターのあたりだけがバリエーション。このキットはE型を狙っていて、シンプルにつくられたものだというのがよくわかります。

デカールも注目すると面白い。モチーフもいろいろ、青い三角の旗の間に小さくある青い鳥、これは一体……。こういうのも、深堀りするといろいろ出てくるので、こうした模型での出会いがきっかけに楽しみが増えていくんですよね。

コクピットから組み立てははじまりますが、こちらシンプルな構成になっていてダボも大きく、小さなパーツもほとんどありません。パネルもなかなかディテール深めでかっこいいですね。

機首部分を組み立てるとき、1パーツでできたアーチ状のエンジンカウルをかぶせるのですが、機首上面の小さな穴から覗くエンジンのフチが見事です。重層的に作っておくことでエンジンの存在を感じさせています。

本当にあっという間に機体が組み上がります。ドイツ空軍機は、側面に施されるモットリングをはじめ、塗装が主役になる飛行機。だからこそ、「早く塗装までたどり着ける」ことが、このキット最大の魅力なのです。まるでそのことを見越していたかのようなシンプルなパーツ構成は、1990年代半ばの設計とは思えない完成度。「組み立ては気持ちよく、見せ場は塗装へ」。そんな思想を感じさせる、プラモ設計うまカンパニー・タミヤらしい一作です。

機体バリエーションを考えれば、どうしてもパーツ分割は細かくなりがちです。それでもタミヤは、スピナーやエアフィルターなど最低限の変更だけで、ドーバー海峡上空を飛ぶE-4から北アフリカ戦線のE-7/TROPまで展開できる構成にまとめ上げました。驚くのは、その設計思想です。1990年代後半のキットでありながら、現代の高精細なBf109キットへ進むための「入口」として、しっかり機能しているのです。
ガンプラで言えば、まさにエントリーグレードのような存在。まずはBf109という飛行機を楽しみ、その独特なモットリング迷彩にも挑戦してみる。その最初の一機として、このタミヤのBf109Eは今でも十分すぎる魅力を持っています。